競技かるた 青春を全部かける 暁星高校、最多13回目の日本一

2021年9月6日 07時06分

練習をする暁星高校競技かるた部の部員たち=いずれも千代田区で

 競技かるたの高校日本一を決める「全国高等学校小倉百人一首かるた選手権」という大会がある。「かるた甲子園」とも呼ばれているこの大会は今年七月、二年ぶりに大津市の近江神宮で開かれ、暁星(ぎょうせい)高校(千代田区富士見一)は二大会連続、十三回目の優勝を成し遂げた。高校生の競技人口が増えるなか、トップに君臨し続けている部活動の様子をのぞいた。
 畳三十枚が敷かれた部室では、競技かるた部の部員が実戦方式の練習に取り組んでいた。顧問の田口貴志先生(52)が小倉百人一首の和歌を読み上げた瞬間、部員の腕が札に伸び、「パーン」という音とともに札が飛んだ。
 部長の二年坂上征流(さかうえせいる)さんら部員はそろいの赤いTシャツ姿だ。左胸に「TOKYO」、背中には「暁星」のロゴ。今年で四十三回を数えた選手権では、この赤いユニホームが団体戦、個人戦とも躍動した。都道府県代表四十四校が出場した七月二十四日の団体戦では順調に勝ち進み、決勝で三年前の優勝校である浦和明(あけ)の星(ほし)女子(埼玉)を下した。優勝十三回は大会史上最多となった。

第43回全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会で優勝した部員と顧問の田口貴志先生(後列左)

 段級ごとに五十のクラス別で行われた翌日の個人戦では、A級(四段以上)で三年朝日雄大(ゆうだい)さん、B3級(三段)で二年清水高嶺(たかね)さんが優勝。二段以上が出場した上位十五クラスでは、この二人を含めて十二人が四位以内に入った。

高校3冠を達成した朝日雄大さん

 一九七九年の第一回大会は出場八校での団体戦だったが、今年は予選参加が三百五十四校、本大会の個人戦出場者は千四百五十四人に。最近、かるた部を新設する高校が相次いでいるからという。それは「ちはやふる」の影響が大きい。競技かるたが題材で、アニメや映画にもなった漫画だ。
 中高一貫校である暁星では九〇年に創部され、部員は現在、高校生四十人、中学生十五人。やはり「ちはやふる」が動機での入部者が多いという。田口先生は「いまの高校生は映画を見て入ってきた子が多かった。主役だった広瀬すずさん効果が大きい」と笑うが、強豪校としての地位を維持しているのは部員の多さだけではないようだ。
 競技かるたは百首を覚えておくことをベースに、取り札を記憶する力、読まれた和歌を聞き取る力、札を取る瞬発力が問われる。頭脳を使った格闘技とも呼ばれるゆえんだ。田口先生の指導方針は「中学生で基本をしっかり身に付けること。中学では大会の成績が振るわなくてもかまわない」。田口先生は九八年の準名人で「ちはやふる」では特別監修を務めた。基礎を徹底した練習の成果は高校生になって開花している。

大会を振り返る顧問の田口先生

 朝日さんは八月に和歌山市で開催された全国高校総合文化祭かるた部門に東京都代表としても出場し、優勝して高校三冠を達成した。「いつもかるたのことを考えている。自宅でも繰り返し、トレーニングしている」と話す。
 好きな歌を聞くと、藤原実方(さねかた)の「かくとだに」を挙げた。激しい恋の歌だが、田口先生が「朝日君は『かく』で始まるKK音をいち早く聞き分けられる。確実に取れる札だからでしょう」と解説してくれた。
      ◇
 小倉百人一首の和歌の下の句が書かれた取り札を自分と相手の陣地に25枚ずつ並べ、まず15分間で札の位置を覚えてから試合開始。読み上げられた和歌の取り札を取り、相手陣地の札を取ったら自陣の札1枚を相手陣地に送る。先に自陣の札をなくしたほうが勝者。全国高校選手権の団体戦は5組同時に試合を行い、3勝した側の勝ちとなる。
文・桜井章夫 写真・池田まみ
 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へ。

関連キーワード


おすすめ情報

TOKYO発の新着

記事一覧