<ひと ゆめ みらい>建物通じ過去と未来結ぶ 「古民家カフェ蓮月」経営・輪島基史(もとし)さん(42)=大田区

2021年9月6日 07時10分

古民家をカフェとして活用している輪島基史さん

 大田区池上の池上本門寺近くにある、古い木造家屋を改装した「古民家カフェ蓮月(れんげつ)」を、二〇一五年秋から営む。開業したきっかけは、知人の勧めだった。
 「飲食店経営の大変さが分かっている今だったら、引き受けてない。無知は力です」と笑う。
 金沢市出身。以前、JR蒲田駅近くで古着店を開いていた。飲食店の経営に興味を持ち、バーを開店しようと考えていたところ、知人から「古民家でカフェをやらないか」と声をかけられた。
 その古民家は一九三三(昭和八)年築。二階建てで、広さ約百十五平方メートル。そば店だったが、二〇一四年店主の高齢化で閉店。建物の保存が危ぶまれたため、この知人ら地元住民が活用を模索していた。
 「誰もやる人がいなくて困っているなら、自分が手を挙げよう」と思い立った。「飲食店の経験が全然ないまま、いきなり経営する羽目になった」
 改装のほか、建物の修繕、庭の手入れ、カップなどの購入…。費用は予想を上回った。「工面するため、いろいろな所で頭を下げた。街を歩いている時、急に涙が出てきたこともある」。それでも「自分にはできる」と言い聞かせ、約五カ月で開店にこぎ着けた。
 独特のレトロな雰囲気が漂い、地元ではよく知られる店に。テレビや映画の撮影にも使われた。テレビ朝日の人気刑事ドラマ「相棒」などにも登場し、遠方からファンが訪れる。
 一階にはテーブルやカウンターなどがあり、二十六席。二階にも二人用や四人用のテーブルがある。二階はレンタルスペースとしても使われ、書道教室や、七五三の撮影などに利用されている。コロナ禍で区の成人式が中止になったとき、晴れ着姿の新成人の撮影場所として無料で開放した。
 経営難になったことも何度かあるが「古い建物を壊し、マンションに建て替えるばかりでは街の価値がなくなっていく。古き良きものに価値を乗せ、未来に伝えるのが自分の使命。建物を通じ、過去と未来をつなぐため、ここにいる」と思っている。(宮本隆康)
<蓮月> 大田区池上2の20の11(東急池上線の池上駅から徒歩8分)。火曜と水曜定休、臨時休業あり。営業時間は午前11時半〜午後6時(コロナ禍の影響で時間変更の可能性あり)。勉強が目的の学生にはドリンク代を半額サービス。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧