東西の壁高く…コロナワクチン接種率に格差 欧州は西高東低

2021年9月7日 06時00分
 【パリ=谷悠己】欧州連合(EU)域内全体で新型コロナウイルスワクチンの接種を終えた成人の割合が70%を超えた。昨年末の接種開始時に掲げた目標を達成した形だが、加盟国別の接種率は20~90%とばらつきが大きい。西欧で高く東欧では低い傾向にあり、今後は域内の格差是正も課題になりそうだ。

◆EU全体では「偉大な成果」達成したが…

 「加盟国全体で進めるというEUの戦略が偉大な成果をもたらした」。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は8月31日、接種率の7割達成を発表した声明でこう胸を張った。
 EU加盟国のワクチンは欧州委員会が一括調達した。当初は製薬会社からの供給が遅れ、英製薬大手アストラゼネカとは訴訟ざたにもなったが、供給が安定化した春以降は接種率も急増。20%台だった5月から一気に上昇した。

◆東側、農村部はネット未整備に政治不信も影響

 だが、各加盟国の接種率には格差がある。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、8月末現在で首位のマルタが90%を超し、アイルランドやデンマーク、ポルトガル、ベルギーも80%台に達した一方、8カ国は60%未満。いずれも東欧諸国で、中でもルーマニアは32%、ブルガリアは20%にとどまる。
 欧州メディアによると、両国でも都市部の接種率は高いが、通信環境が未整備でインターネット予約ができない郊外や農村部で接種が進んでいない。独裁政権の歴史などから国民の政治不信も根強く、政府の接種キャンペーンへの忌避感につながっているとされる。このため、調達しても消費できないケースもあり、両国はEU域外の東欧諸国や東南アジアにもワクチンを供給している。

◆西側でも社会分断の恐れ

 70%を超えているフランスやイタリアでは飲食店や長距離鉄道の利用にワクチン証明書の提示を義務化し、接種済みの人たちにはコロナ禍以前の生活が戻りつつある。一方で、両国ではワクチンへの拒否感が強い人たちを中心に証明書提示の義務化に反対する抗議運動も強まっており、社会分断の恐れもある。
 フォンデアライエン氏は声明で「今後は途上国など、EU域外へのワクチン支援を強めていく」としているが、足元の域内への配慮も欠かせない状況が続いている。

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