政府がワクチン3回目接種、年内開始を検討 WHOは途上国優先を訴え、必要性に懐疑的<新型コロナ>

2021年9月6日 21時34分
 新型コロナウイルスワクチンの効果をさらに高めるために追加で打つ「ブースター」を米国などが始めることに関し、政府は年内にも3回目接種を開始する方向で検討に入った。時間の経過に伴ってワクチンの効果が低下する可能性が指摘されているためだが、現段階では必要性について科学的根拠がないとの見解もあり、安全性の議論もこれから。世界保健機関(WHO)は先進国などでの3回目より、1回も打てない人が多くいる途上国への供給を優先すべきだと訴える。(井上峻輔、清水俊介)

◆医療従事者は11月以降、高齢者は来年見通し

 河野太郎行政改革担当相は6日の記者会見で、10月までに確保するワクチンを年内に開始予定の3回目接種に使用する可能性について「ブースターに必要なら使う量が出てくると思うが、やり方を含めて厚生労働省で判断する」と述べた。
 1回接種を終えたのは9月6日現在、全人口の59%で、河野氏によると、約1800万人が1回目を待っている状況。政府は希望する全国民への2回接種を10~11月の早い時期に終えた上で、3回目接種は「医療従事者に11月以降。高齢者は来年2月から」(河野氏)との見通しを示す。

◆途上国との格差拡大に懸念

 3回目接種は、2回接種していても時間が経てば効果が下がるとして、海外では既にイスラエルやチリで開始した。米国や英国、ドイツなどでも9月以降の実施を決定している。
 だが、先進国を中心に3回目接種が本格化すれば、途上国とのワクチン格差が今以上に拡大するという人道上の問題が懸念される。ワクチンの多くは先進国に偏在し、接種が進まない途上国で感染拡大が深刻化。WHOは途上国への公平な供給を進めるため、3回目接種を少なくとも9月末まで停止するよう求める。
 また、ファイザーやモデルナのワクチンはデルタ株に対しても重症化を防ぐ効果が比較的高いとされ、3回目接種に緊急性があるか懐疑的な見方もある。WHOのスワミナサン首席科学者は8月、「現時点で得られているデータからは、必要ということは示されていない」と指摘している。

◆ワクチン供給、課題に

 日本政府は3回目接種に必要なワクチンを既に「確保している」と説明するが、各国のワクチン争奪戦が激化している。これまでの接種で供給が滞って地方自治体で不足が相次いだこともあり、実際に予定通り供給できるかが課題となる。
 1、2回目と別会社の製品を3回目接種に使えるかも検討する方針で、ファイザーやモデルナの両社製に加え、国内生産が予定される米ノババックス製も1億5000万回分確保する計画だ。どんな副反応が想定されるかなど安全性の問題も残されており、厚労省の担当者は「有効性、安全性に関する情報収集をして、よく検討する必要がある課題だ」としている。

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