ボートと三味線の異色「二刀流」 足立の高校3年生・沢目真直さん「世界の人を魅了したい」

2021年9月7日 12時23分

8月に福井県で行われたインターハイで優勝した直後の沢目真直さん=本人提供

 夢はオールとばちの二刀流―。東京都足立区の都立江北高校3年、沢目真直まさなおさん(17)が今年のインターハイのボート競技で優勝した。民謡歌手の母の影響で始めた津軽三味線も人気奏者「吉田兄弟」の兄、吉田良一郎さんに師事し、秋に全国大会に出場する。「スポーツと伝統芸能で世界の人を魅了したい」と意気込んでいる。(奥野斐)

◆トップアスリート候補生

津軽三味線奏者も目指す沢目真直さん=本人提供

 ボートは中学2年の1月に始めた。スポーツ万能だった沢目さんは、都のトップアスリート発掘・育成事業に応募し、選考を通過。レスリングやアーチェリーなど7種目を試し、ボートの動きを再現する練習機器「ローイングエルゴメーター」の記録が良かったのに加え、「乗艇した時の風を切る感じが楽しかった」ため、ボートを選んだ。
 隅田川ローイングクラブ(墨田区)で練習を開始。中学3年の夏には「全日本中学選手権競漕きょうそう大会」男子ダブルスカルで、競技開始後わずか半年後の優勝という快挙を成し遂げた。
 足立区内の江北高校に進学後は、学校側が沢目さんのために「一人ボート部」を創設。同じ都立の小松川高校ボート部の練習に参加し、普段は江戸川区と墨田区、江東区の境を流れる旧中川などでいでいる。
 ただ、昨年はほとんどの大会が中止に。地方のライバル選手が練習を再開する中、東京だけが緊急事態宣言下で乗艇できず、自宅で筋トレするしかない日々が続いた。以前は戸田漕艇場(埼玉県戸田市)でも練習したが、コロナ禍で通えなくなった。
 そんな中、福井県立久々子湖くぐしこ漕艇場で8月15日に開幕したインターハイ。沢目さんは予選の4日前に食あたりから急性胃腸炎を発症。食事は一切受け付けず、体重は5キロ減った。一時は出場も絶望的だったがなんとか回復。19日の男子シングルスカル決勝(1000メートル)で、3分24秒の自己ベストで優勝した。
 「ストレスがなくなり、準々決勝、準決勝、決勝と回を重ねるごとに強くなるという自信が持てたのが良かった」と振り返る。

◆奏者としても全国狙う

 沢目さんはまた、母親で民謡歌手の小山おやまみつなさん(48)の影響で、幼いころから舞台で太鼓や踊りを披露してきた。中学1年から本格的に始めた津軽三味線は、師事する吉田さんの元に月1~2回、稽古に通う。
 一昨年、「津軽三味線・津軽民謡全国大会」の初級部門で準優勝。今年も11月に同大会があり、レベルアップした部門での入賞を目指して稽古に集中する。

ボートと津軽三味線の「二刀流」を目指す沢目真直さん(左)と母で民謡歌手の小山みつなさん=東京都足立区で(奥野斐撮影)

 週末に一緒に舞台に立っていたという小山さんは「最初のころはボートに(息子を)取られた寂しさがあった。でも、今しかできないことを頑張ってほしい」と応援する。
 沢目さんの目標は、世界で活躍できるボート選手であり、津軽三味線奏者。「ボートも津軽三味線も、もっと多くの人に知ってほしい。オールと撥の『二刀流』で魅力を伝えていきたい」と笑顔を見せた。

PR情報

社会の新着

記事一覧