<新型コロナ>現場の防護具不足 深刻 済生会栗橋病院(久喜市)・長原光院長

2020年4月30日 02時00分

医療用防護具と財政支援を求める長原院長=久喜市の済生会栗橋病院で

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、県内の感染症指定医療機関で医療関係者による懸命な治療が続いている。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者に始まり、これまでに計十人以上の治療に当たってきた済生会栗橋病院(久喜市)の長原光院長が取材に応じ、医療防護具が不足する現場の様子や、治療を重ねて気がついた症状について語った。 (寺本康弘)

■病院に寝泊まりも

 同病院は、県北東部の中核病院。ウイルスが外部に漏れない陰圧室に、感染症患者を受け入れるための病床を四床持っている。これまで受け入れた新型コロナ患者の中心は酸素吸入が必要な中等症だが、人工呼吸器が必要な重症患者を治療したこともある。
 「呼吸器内科だけでなく、他の科の医師も通常の診療をしながらコロナの患者を診ている。結構な負担になっている」と明かす。
 医療スタッフ自身が感染する恐れがあり、治療に当たっては気を使う。特に重症患者はたんの吸引などで感染の危険性が高まるため、医師や看護師の中には自身の家族にうつさないようホテルや病床に泊まるなど対策をとった人もいた。
 緊張が続く治療の現場で深刻なのは、防護服やマスクなどの不足。顔を覆うフェースガードは、病院職員がクリアファイルを丸めてスポンジをはるなど手作りで対応している。「医療用マスクは本来、患者ごとに毎回替えなければならないものを、患者のくしゃみやせきなどで汚染されたりしていないかを確認しつつ、何人か診てから替えたりするなど工夫して使用している」と窮状を説明する。

■財政支援は必須

 県からは受け入れ病床数を二十床に増やすよう依頼されている。そのためには院内感染防止の徹底が必要で、五十床あるフロア全体をコロナ患者専用としなければならないと考える。その場合、残り三十床は使えず、収入が見込めない。「ただでさえ厳しい経営状況がさらに厳しくなり、病院が成り立たなくなる」
 受け入れを拡大するためには「財政的な支援と医療用の防具の準備が必要。それがあれば、もう少しできる」と行政に支援を求める。

■血栓に注意を

 病院では帰国者・接触者外来も実施。これまでに約二百二十人が受診し、検査の結果、約6%が陽性だったという。
 入院した十人以上の患者を見る中で、気付いたことがある。血栓ができやすい状態を示す血液中の成分「D-ダイマー」の値が高い人が少なくない。このため抗インフルエンザ薬のアビガンと血液が固まるのを防ぐ経口抗凝固薬を積極的に処方し、血栓ができるのを防いでいる。
 「まだ想像の範囲だが、軽症から突然、誰にも連絡が取れずに亡くなるのは、血栓による心筋梗塞や肺塞栓(そくせん)などの可能性があるのではないか」と指摘。現在、PCR検査の結果が陽性の場合、患者の自覚症状によって症状の軽重を診断しているが、「肺のエックス線撮影と採血を診断に加えれば、よりきめ細かな判断や治療が可能になるのでは」と提案した。

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