見知らぬ男性に公園で詰め寄られ、警察は3歳長女を1人だけで聴取…南アジア出身の母親「あまりにひどい」

2021年9月8日 06時00分

「娘は今でも警察や公園に行きたがらず、ひどく傷ついた。なぜ、警察は男性に勝手に名前や住所を教えたのか」と憤る母親=いずれも8月12日、都内で

 東京都内の公園で面識のない男性とトラブルになった南アジア出身の40代の女性が、長女(3つ)と一緒に連行された警察署で不当な任意聴取を受けたうえ、同意なしに名前や住所や携帯番号を男性に漏らされたとして、都公安委員会に苦情を申し出た。代理人の西山温子弁護士は「外国人への差別と偏見に基づいた聴取で、人権侵害であり違法だ」と批判した。

◆3歳長女は心に傷

 申し出書によると、都内に住む女性が6月1日に公園で長女を遊ばせていた際、長女は男性から「俺の息子を蹴った」と怒鳴られ、突き飛ばされた。男性は女性にも「在留カードを持ってるか、出せ」などと詰め寄った。通報で警察官6人が駆け付けたが、男性の言うままに長女に対して「蹴ったんだろう」などと言ったという。

長女が滑り台を滑り終わると、男性は長女を突き飛ばし、「息子を蹴っただろう」と怒鳴り出した

 女性と長女は蹴ってないと主張したが、最寄りの警察署で約3時間の聴取を受け、「蹴ったと認めろ」などと言われた。途中、長女だけで事情を聴かれる場面もあった。さらに警察は、民事訴訟を起こすと話す男性に女性の名前や住所などを教え、女性が長女を監督できていなかったとして児童相談所にも通告していたという。
 長女はこの後、公園に行くのを拒むようになり病院で「心的外傷エピソードによる不眠」と診断された。
 西山弁護士の聞き取りに対して、警察側は男性に個人情報を伝えたり女性の同伴なしに長女から事情を聴いたことを認めているが、いずれも女性の同意があったと主張しているという。一方で女性は同意を否定。西山弁護士は「警察は男の言い分だけで親子を連行するなど許し難い。警察の対応は問題だらけだ」と批判する。
 警察署は取材に「個別案件については回答を差し控える」と回答した。

◆警察は男性に住所や携帯番号を伝える

 不当な取り調べを受けたと訴える南アジア出身の女性は、警察が男性に名前や住所を教えたことについて「なぜ許可なく住所を教えたのか」と憤るとともに、「男が嫌がらせにくるかもしれない」とおびえている。
 トラブル時に公園を通りかかり助けに入った30代の男性によると、警察官は公園で、女児に男性の息子を蹴ったことを認めさせようとしていたといい、「警察は男性をいさめず、親子に差別的な言動を続けていた」と本紙の取材に話している。

長女が遊んでいた砂場

 女性によると、長女が疲れて「家に帰りたい」と泣いても警察での聴取は終わらなかった。長女が1人で聴取された際には、泣いて目を真っ赤にしていたといい、女性は「胸が締め付けられそうになった」と振り返る。
 その後、警察官から「携帯番号を男性に教えないと帰せない」と言われたが、女性はこれを頑なに拒否した。しかし、警察は男性に携帯番号だけでなく住所や名前も教えていた。さらに、警察は9日後の6月10日に「母親が娘の監督を怠った」と児童相談所に通告したが、児相は女性らから事情を聴いた結果、問題なしと判断している。
 女性は「外国人だから差別的に扱ったのでは。娘はひどく傷ついた。警察のやり方はあまりにひどい」と訴える。(望月衣塑子)

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