「もう党員でないので」…IR汚職で実刑の秋元被告から目背ける自民

2021年9月8日 06時00分
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、衆院議員の秋元司被告=自民党を離党=に有罪判決が言い渡された。現職の国会議員としては異例の実刑で、政治への信頼回復が急務だが、逮捕まで身を置いた自民党や政府からは目を背けるような発言が相次いだ。第2次安倍政権時代、次々と浮上した「政治とカネ」の疑惑。正面から向き合わず、説明を尽くさない姿勢は菅政権でも変わらなかった。(山口哲人)

◆「裁判所の判断」口つぐむ官房長官

 「もう党員でもないのでコメントは差し控えたい」
 自民党の森山裕国対委員長は7日、秋元被告の判決が次期衆院選に与える影響を記者団に問われると、素っ気なく答えた。「国会議員一人一人が(職責を)自覚して、政治活動に取り組んでいくことが大事だ」と語ったものの、既に離党していることを盾に批判をかわしたい思惑がにじんだ。
 IR担当の内閣府副大臣の立場で特定の業者と癒着し、多額の賄賂を受け取ったと認定されたことは、政治・行政の公正さを揺るがす重大な事態。しかし、加藤勝信官房長官も記者会見で「個別事案における裁判所の判断だ」と口をつぐんだ。

◆常態化する「政治とカネ」

 第2次安倍政権発足後の9年近く「政治とカネ」問題では、政治不信を増幅させる不祥事が次々と表面化。そのたびに関係した議員の離党や役職辞任などで火消しを図り、政権として十分な説明責任を果たさず、ほとぼりが冷めるのを待つ対応が常態化している。
 2019年参院選を巡る大型買収事件では、党本部から元法相の河井克行、元参院議員の案里夫妻側に提供された1億5000万円が原資との見方がくすぶる。菅義偉首相は昨年9月の自民党総裁選で、使途解明に向けた調査などに「責任を持って対応したい」と約束したが、党側は捜査当局に関係書類が押収されていることを理由に具体的な動きを見せていない。
 安倍晋三前首相の妻昭恵氏と関係が深い「森友学園」への国有地売却問題でも、首相は財務省が公文書改ざんを指示した当時の局長らを懲戒処分したことなどを理由に「結論が出ている」と主張。自殺した近畿財務局職員が一連の経緯を記した「赤木ファイル」の存在が明らかになっても、対応を改めなかった。

◆「全部離党で収めようとしている」

 17日告示の自民党総裁選では「政治とカネ」への対応も争点になるべきテーマだ。だが、出馬表明時に党運営の透明性確保に意欲を見せた岸田文雄前政調会長は七日、森友問題の「再調査などは考えていない」と記者団に語った。新たなリーダーの下でも、自浄作用が高まる保証はない。
 衆院選を控え、野党は自民党の「体質」に照準を合わせる。
 立憲民主党の福山哲郎幹事長は7日の記者会見で、秋元被告に関し「いまだに国会議員を続けていることに怒りすら覚える。放置している自民党の統治能力のなさを表している」と批判。河井夫妻や有権者への買収事件を起こした菅原一秀前経済産業相=議員辞職=らを例に、こう語った。
 「全部離党で収めようとしているが、けじめもつけないまま衆院選に突入することは、自民党の責任も強く問われるということだ」

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