工事中断の旧鎌倉図書館 耐震改修再開も費用増大 市職員が再設計 総額3億9100万円以上に

2021年9月8日 07時02分

工事が中断されたままになっている旧鎌倉図書館=鎌倉市で

 解体の方針が撤回され保存が決まったものの、工事が中断したままになっていた鎌倉市御成町の旧鎌倉図書館について、市は新たに業者と契約し、工事を再開すると発表した。新たな工事費は2億9000万円で、旧図書館を耐震改修・増築して学童保育の施設として整備する費用の総額は、3億9100万円以上かかることになった。(石原真樹)
 一九三六年建築の旧図書館は木造二階建てで、県内現存の最古級の図書館建築とされる。市は老朽化を理由に二〇一四年に取り壊しを決めたが、市民団体の反対を受け方針を転換。学童保育「おなり子どもの家」としての活用を決め、一八年三月に工事に着手した。
 ところが、土台や柱などが耐震診断報告書の内容よりも広い範囲で腐食していることが判明し、工事は三カ月で中断。設計をやり直すための入札は応札企業がなく、昨年度に市職員が自ら再設計した。今年七月、入札を経て小田原市の業者と工事費二億九千万円で仮契約し、本契約のための議案を九月議会に提出する。
 工事中断までに解体費用などで六千七百万円が支出済みで、この費用を含めると工事費は三億五千八百万円。二億四千百万円だった一八年当初の工事費(監理費含む)から一億一千七百万円膨らんだ。耐震診断や設計費を含めた総額は三億九千百万円となった。再設計のためにかかった市職員の人件費などは含まれていない。
 工事中断の原因について一九年一月に市職員らがまとめた報告書では、仕上げ材を外して調べていない場所での腐食の危険性や、追加調査の必要性を耐震診断報告書に記載していなかったことや、設計段階で現地確認が不十分だったなどとした。市は、予見は難しかったとして、事業者の責任は問えないとしている。
 松尾崇市長は八月の定例会見で「あらかじめ予見できなかったのか、反省点として今後に生かしたい」と話した。施設の運用開始は当初予定から四年遅れ、二三年度からの見通しという。

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