小中学校での抗原検査、大丈夫? コロナ感染急拡大で文科省が今月から開始

2021年9月8日 20時01分
 新型コロナウイルス感染が子どもに急拡大していることを受け、文部科学省は校内で検査ができるよう、抗原検査キットを最大80万回分用意し、今月から全国の全ての幼稚園と小中学校に配っている。感染者の早期発見が目的だが、現場や専門家からは「医療従事者ではないのに検査をしても大丈夫か」といった不安や疑問の声も聞かれる。(小松田健一)

◆「PCR検査、ワクチン接種がまず先」との声も

 検査の対象は原則教職員。児童生徒は、家庭の事情などですぐ帰宅できない場合で保護者の同意を得た小学4年以上について認める。萩生田光一文科相は「具合が悪い場合に直ちに検査することを勧めているわけではない」としている。

抗原検査に使われるキットの一種。綿棒(左)を鼻の奥に入れて検体を採取する

 文科省の手引によると、検査を受ける人は綿棒を自分で鼻腔の入り口から2センチ程度挿入。5回程度回転させ、さらに5秒程度そのままにする。児童生徒の場合は教職員が立ち会うが、綿棒を奥まで入れすぎないようにしたり、くしゃみが出た場合に飛沫を浴びないようにしたりするなど、細心の注意が求められる。
 都内の中学校養護教諭は「保健室に来る生徒の対応で手いっぱい。その合間に対応できるか不安だが、一般教員にも頼めない」と打ち明ける。近隣の学校との意見交換の際も、感染リスクや防護資材の不足などの懸念が出たという。
 小中学校に先立ち、文科省は7月末から希望する高校、大学に検査キット45万回分の配布を始めた。だがある都内の高校は「症状が出た生徒は直ちに帰宅、受診させる対応を徹底しており、必要性を感じなかった」(養護教諭)と配布を受けなかった。教諭は「PCR検査の充実や、若年層へのワクチン接種をまず進めるべきでは」と話す。

◆専門家の指導など十分な準備が必要

 抗原検査は、最短でも数時間かかるPCR検査に比べ、15~30分程度で結果が分かる。半面、検出精度は低いとされる。
 学校医も務める、わだ内科クリニック(東京都練馬区)の和田真紀夫院長は「感染拡大防止の原則は『早期発見と隔離』なので、迅速に感染者を発見するために学校で抗原検査を行う趣旨自体は間違っていない。ただ、自分でするのは難しく、補助者の感染リスクもある。日常的な監視目的の検査であれば急ぐ必要はないので、唾液を自分で採取するPCR検査が安全で簡便な方法だ」と話す。
 弘前大医学部付属病院の萱場広之感染制御センター長は「私たちでも子どもの検査は2人がかりで行う。子ども自身に検体を採取させるのは非現実的だ。検査の精度が低いと、陽性なのに陰性の結果が出て集団に戻り、かえって感染が広がる恐れがある。地元の医師会や専門家の指導を受けた十分な準備が必要だ」と指摘した。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧