違法な盛り土 ずさんな埋め立て 09年確認 県調査、熱海市は業者に指導

2021年9月9日 08時08分

2007年5月、伐採され切り開かれた谷部

 熱海市伊豆山(いずさん)の土石流災害を甚大化させたとされる逢初川(あいぞめがわ)源流部の違法な盛り土を巡り、県は七日、二〇〇九年十月に県が伊豆山港の同川河口部の濁り原因を調べる過程で、源流部分にずさんな方法の埋め立てがされていると確認していたことを明らかにした。また、降雨時には下流域に土砂が流出するため、翌月には、熱海市が盛り土を造成した業者側に対策を取るよう指導していた。(大杉はるか)
 同日開いた、土石流の発生原因調査検証委員会の初会合で県は、保管していた〇六〜一二年の盛り土付近の写真とともに、経緯を部分的に公表した。
 県によると、〇九年三月に熱海市が小田原市の不動産管理会社から土砂搬入の開始連絡を受けた。七カ月後の十月九日、県は漁協から伊豆山港が濁っているとの連絡を受け、逢初川の源流部を調査。山の斜面上から、源流部となる谷側に土砂が搬入されているのを確認した。
 翌十一月十三日には、熱海市が同社に災害防止や土砂流出対策を指導し、同社は十二月に盛り土の工法変更届を出した。ただ、同社が指導に従ったかや、実際に工法を届けの通りに変更したかは分かっておらず、県はさらに詳細な経緯を調べている。
 このほか、県が公表した写真では、〇六年九月段階では源流部の谷を樹木が覆っていた。だが、翌年五月には伐採されて切り開かれ、一〇年六月には相当量の土砂が無造作に投棄されている状況が確認された。同十月の写真では、段積みのように整形されていた。近く、ホームページ上にも写真を掲載する。

2010年10月、段積みされ盛り土のように整形された土砂(いずれも県提供資料より)

 盛り土は、小田原市の不動産管理会社が〇六年九月に土地を取得し、〇七年三月に熱海市に造成を申請。その後、申請内容を超える森林伐採をしたり、搬入した土砂に木くずなどの混入が確認されるなどして、県や市が再三指導した。だが、造成は続き、土地の所有者は一一年二月に熱海市伊豆山の男性に変更された。県は盛り土に関する県や熱海市の行政手続き、指導内容を把握するため、残る文書を整理している。
 検証委員会では、盛り土崩落の原因究明に向け、盛り土部分にどう地下水が作用したかを調べるためのボーリング計画を県が説明。オンラインで出席した有識者は、ボーリング地点の見直しなどを求めた。
 県は盛り土をした前所有者や現在の所有者に一連の経緯などを聞く方針。難波喬司副知事は終了後、記者団に現所有者の代理人から調査への全面協力を取りつけ、来週にも話を聞く考えを示した。一方、前所有者には接触できていないという。

◆伊豆山港周辺を捜索 県警と海保 残る不明者は1人

行方不明者を捜索する隊員たち=熱海市の伊豆山港で

 熱海市伊豆山の土石流災害で、県警と下田海上保安部、第三管区海上保安本部は八日、伊豆山港とその周辺海域で、残る一人の行方不明者を合同捜索した。
 陸上での捜索が続く一方、行方不明者が海域にいる可能性もあるとみて実施。計三十五人が参加した。
 港内は土砂による濁りで水中の視界が悪い中、潜水士が潜って捜索。陸上で操作しながらモニターで海中を確認できる水中探査装置も活用した。周辺海域はゴムボートから捜索した。
 県警の広域緊急援助隊静岡大隊の高橋勝大隊長は、「行方不明者は海域にいる可能性もあり、一日でも早く発見したいという思いで来た」と話した。
 土石流は七月三日に発生し、起点部から約二キロ先の伊豆山港にまで到達。これまでに二十六人の死亡が確認されている。(山中正義)

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