巨額の政策活動費どう使った?元幹事長が語る自民党、旧民主党の実態

2021年9月11日 06時00分

手書きのサインが入った政策活動費の領収書のコピー=東京都千代田区で

 政党から政治家に支出され、使途を明かさず自由に使うことができる「政策活動費」(組織活動費)。政治資金規正法に埋め込まれた「抜け穴」だ。実際のところ、その穴からどんなふうに、どういったカネが流れていったのか。「こちら特報部」の取材に、自民党と旧民主党の幹事長経験者が証言。海外視察の餞別、事実上の選挙対策費、非公認候補の裏支援など、「表に出しにくいカネ」の実態が浮かんできた。(木原育子)

政策活動費 政治資金規正法は政治家個人への寄付を禁じ、資金管理団体や政党支部で受けて収支報告書を提出するよう義務づけているが、政党は個人への寄付が認められている。受け取った議員は報告書に記載する必要が明文化されていないため、記載しておらず、多額の政治資金の使途がわからなくなっている。

◆「別に幹事長が潤っているわけではない」

 8月上旬、東京都内の少し広めの応接室。威厳を放ちながら、背広姿の自民党の元幹事長が現れた。
 政策活動費の使途について取材している旨を説明すると、短く「ほう」。身体を少し前かがみに、声をさらにひそめた。証言は匿名が条件。「そのカネは、右から左に経由していくだけ。別に幹事長が潤っているわけではない」。重い口を開いた。
 政策活動費は、いわば領収書がいらない政治資金だ。自民党の場合、少なくとも政権与党に返り咲いた直後の2013~19年で、幹事長が受け取った年間平均額は10億7000万円に上る。「幹事長といっても、幹事長代行も幹事長代理も副幹事長も、ずらずらいる。飲み食いっていうのもある。いつもご苦労さんと」
 幹事長のポケットマネーということか。「(カネを)どういう風に割り振るかは幹事長の権限。決裁書があるわけではないから覚えていない」

◆「五当四落…当選させるのが仕事」

 話は、在りし日にも及んだ。「思いを共有する議員で、海外視察に行きたいと申し出た。当選回数が少ないと、とにかくカネがない。幹事長のところにお願いに行くと、気前がいい人で、ポンとくれた」
 コロナ禍以前は、多くの国会議員が8月、9月に、海外視察に出掛けた。1人200万円の公費負担もあるが、この元幹事長は「いわゆる餞別と称するものを渡していた」と明かす。
 自民党幹事長室は、「こちら特報部」の質問に、政策活動費の目的について「党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うために支出している」と回答しているが、餞別もそれに含まれるのか。
 「昔は五当四落と言われた」。元幹事長の回想は続く。5億円積めば当選、4億円だと落選という永田町の定説。「天下の自民党幹事長だから。全国の議員を選挙で当選させるのが一番の仕事だ」
 つまり、政策活動費の最終消費地は選挙ということか。「選挙が始まってから、カネ出しても意味がない。始まってから買収やるバカはいない。選挙ではなく、日常の経費。たくさん秘書を雇えば、議員歳費だけではやれない」と。「あっても困るものではない。受け取ってくれって」

◆「自ら稼いだ金でないから気前よく配れる」

 それは国政選挙だけではなく、地方選もらしい。例えば、自民党対野党という構図の知事選の場合、「『領収書はいらない』と渡すことはあった。別にその人のカネになるわけではないから」と話す。
 政策活動費はそんなに必要なのか。自民党元幹事長は話す。「なくてもできるが、あったらあったで、みんな幸せだ。自分で稼いだお金ではないから、気前よく配れる。自分は違うが」
 別の理由も明かす。「幹事長になって最初の仕事は、党の連帯保証人になることだった」。自民党が銀行から資金を借り入れていた時代もあったという。「銀行は、どこの党にどれだけ貸与しているか公にできない。返金する際、使途が言えないお金は便利でもあった」
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