<新型コロナ>指定機関の医師感染 医療体制、整備が急務

2020年4月7日 02時00分
 新型コロナウイルス感染症で「緊急事態宣言」が発令される見通しの中、県は医療体制の整備に迫られている。入院先の確保に取り組む一方、先月末には感染症指定医療機関の医師が感染。院内感染が広がれば医療崩壊にもつながりかねず、担当者は「一例とはいえ危険な兆候だ」と警戒している。(飯田樹与、近藤統義)
 三月三十一日、独協医科大埼玉医療センター(越谷市)で、循環器内科の女性医師の感染が判明した。七百五十床以上ある県東部の拠点病院で、ウイルスを外部に漏らさない構造の専門病床を持つことから、同月中旬に県が「感染症指定医療機関」に指定したばかりだった。
 女性医師の感染経路は不明で、医療スタッフ六人、入院患者七人が濃厚接触者とされ、二週間の自宅待機に。現在のところ院内感染は確認されていない。循環器内科は規模を縮小して継続し、新たな患者の受け入れは中止している。この医師は県内の別の医療機関の外来も担当していた。
 県内には、人工呼吸器の必要な重度感染者に対応できる専門病床が、同センターを含め十二の感染症指定医療機関に計七十五床ある。さらに、軽・中度や、重度から回復した患者の受け入れ先として呼吸器系の診療科を持つ病院などの一般病床百五十床を用意。計二百二十五床をコロナ患者用に確保し、五日現在、重症者七人を含む百五十二人が入院中だ。
 空きはまだ三割強あるものの、県内の感染者数は日々増加。県は、感染症指定医療機関の少ない県南部の病院へ、病床の提供を呼び掛けている。限られた病床を効率的に利用するため、今月一日には呼吸器の専門医をトップに、入院先の調整本部を立ち上げた。
 重症患者に対応する機材不足も心配されるため、新型コロナ感染者専用に使用する体外式膜型人工肺(エクモ)四台や、集中治療室(ICU)で使う陰圧テント四十二台の購入費用も予算計上した。
 大野元裕知事は六日、報道陣に、医療崩壊には至っていないとした上で「医療関係者の負担軽減や協力体制の構築について指示を出している」と述べた。

◆所沢で院内感染か 同病棟の2人 県発表は11人

 県は六日、十一人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。このうち二人は所沢明生病院(所沢市)に入院中の七十代男性=同市=と医療従事者の三十代女性=同市=で、二人は同じ病棟にいた。
 同病院では二日に医療事務補助員、四日に医療従事者の感染が判明しており、県は院内感染の可能性があるとみて調査している。同病院は外来受け付けを中止しており、入院患者は移動させない措置を取った。
 残り九人のうち六人の感染経路は分かっていない。
 さいたま市も同日、市内に住む五十代のサービス業男性の感染が確認されたと発表。東京都内の職場で同僚が陽性と判明したため、検査を受けてわかった。
 川口市は同日、市内の七十代の無職女性と四十代の会社員男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。二人は同居の親子。 

◆さいたまで1人死亡

 さいたま市は六日、新型コロナウイルスに感染し、県内医療機関に入院していた市内在住の一人が死亡したと発表した。県内四例目で市内では初。遺族の意向として死亡日や性別、年齢は公表していない。

◆県が入退院者数の自治体別公表中止

 新型コロナウイルス感染症の県内での発生情報を公表している県は六日、市町村ごとの入退院者数の公表を四日から中止したことを明らかにした。理由について、県保健医療政策課の担当者は「患者個人の特定につながりかねない」として個人情報の保護を徹底する考えを示した。(大西隆)

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