伯父は三島由紀夫、祖父2人は文化勲章者 文化人一家に育った森ビル・杉山央さんが取り組む「虎ノ門・麻布台プロジェクト」<マイストーリー>

2021年9月12日 05時50分

街づくりについて語る杉山央さん=東京都江東区のチームラボボーダレスで

 森ビル(港区)が進める「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は東京都心で過去最大規模の再開発事業だ。注目はこの地に誕生する新たな文化施設。構想を練る森ビルの杉山央さん(46)は、六本木ヒルズのイルミネーションやお台場のデジタルアートミュージアムなどを手掛けてきた。これまでに携わった街づくりや、最新プロジェクトへの思いを聞いた。(池井戸聡)

◆親族は著名文化人だらけ、ジョン・レノン一家とも交流

 「昔は注目されることが嫌で、避けていました」
 父方の祖父は日本画家の杉山寧、母方の祖父は建築家の谷口吉郎。ともに文化勲章受章者だ。伯父は作家の三島由紀夫。「学校で絵を描くと先生が『どれどれ?』と見に来て恥ずかしかった」

杉山央さんの家系

 家には建築家や音楽家ら文化人が集い、ジョン・レノンらも来訪。同い年のショーン・レノンさんと遊んだ。絵画や彫刻は好きだったが高校生までは「ゲームばかりしていた」。

◆街を使って遊ぶ

街づくりについて語る杉山央さん=東京都江東区のチームラボボーダレスで

 そんな杉山さんが一躍脚光を浴びたのは大学時代だ。通行人の頭上の壁に「おなか減った」などマンガの吹き出し画像が出る「フキダシステム」を開発。当時多くあったアダルトビデオ自販機を買い取って仲間と改造し、自作のTシャツや手芸品を入れ原宿や渋谷に置くと「めちゃくちゃ売れた」。雑誌が取り上げた。
 「他人はやっていないことなので比べられることがない。『いたずら的』に発表するのが心地よかった」。この時「街を使って遊ぶのは楽しい」と自覚。「『街側』に入ることで自分のアイデアも実現でき、クリエーターやアーティストもサポートできる」と2000年に森ビルに入社した。

◆「地図のない美術館」

 03年に開業しこの年に始まった六本木ヒルズ・けやき坂のイルミネーションを担当。15年ごろからチームラボ(千代田区)と共同でデジタルアートミュージアム「チームラボボーダレス」の開業に携わった。

「チームラボボーダレス」の境界のないアート群=東京都江東区で

 「憧れていた建築家の祖父(谷口吉郎)は自分だけでなく、イサム・ノグチ(彫刻家)らと新しい空間を作った。自分がやりたいのもクリエーターやアーティストの仲間と一緒に新しい場所をつくることだった」
 18年に開業したチームラボボーダレスは、約1万平方メートルの空間に順路なく同じ作品を2度見ることができない「地図のない美術館」。1年で230万人が来館し、世界でも前例がないほどの来場者を集めた。

◆リアルの価値体験を追及

超高層ビル3棟などができる再開発「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(イメージ)=森ビル提供

 その杉山さんが今、取り組むのが虎ノ門・麻布台プロジェクトだ。「デジタルが発達し、そこに行かなくても似た体験ができる時代だからこそ、リアルの体験価値を追求したい。従来のジャンルに縛られない新しいものを扱いたい」と力を込めた。

虎ノ門・麻布台プロジェクト 港区虎ノ門5丁目周辺の約8.1ヘクタールの土地を再開発、64階建てを含む超高層ビル3棟などを建設し文化施設や商業施設、ホテル、住宅などをつくる計画。1989年に地権者との交渉が始まり、30年後の2019年に着工。23年3月に完成予定。

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