埼玉県でベーカリーレストランによみがえった寝台列車「北斗星」の食堂車 老朽化にコロナ禍…資金募る

2021年9月12日 06時53分
 川口市内で車を走らせていると、青色の鉄道車両が街角で目に留まった。懐かしの寝台列車「ブルートレイン」だ。なぜここに?と思って探ると、レストランとして今も活躍していた。地域のランドマークでもあるようだが、老朽化で多額の修繕費が必要になっているという。(近藤統義)

北斗星の食堂車だった車両の修繕費を募る嶋田さん

 JR東川口駅近くの住宅街。金色のラインが入った全長二十メートルの青い車体が威容を誇る。東京・上野−札幌を結び、二〇一五年八月に引退した寝台特急「北斗星」の食堂車だったと、管理する嶋田悟志さん(50)が教えてくれた。
 「特に鉄道好きではなかったんですが…」と笑う嶋田さんは、飲食や福祉事業を手掛ける会社「PYC」の社長。知人の鉄道関係者にJR側から購入するよう勧められ、「食堂車ならレストランとして活用できる」と話に乗った。
 経営するそば店や高齢者施設などが集まる敷地の一角に線路を敷き、さいたま市大宮区の車両倉庫からトレーラーで運搬。一六年五月、ベーカリーレストラン「グランシャリオ」としてよみがえらせた。

テーブルやイスなど内装はほぼ現役時代のままだ=いずれも川口市戸塚で

 店名は、現役時代から食堂車に付けられていた名称を受け継いだ。内装はエアコンを設置した以外、テーブルからイス、カーテンやカーペット、卓上ランプまで当時のままだ。
 オープン当初は「素人に管理できるのか」と厳しい意見もあったが、それ以上に「車両を生かしてくれてありがとう」という感謝の声が届いた。全国から鉄道ファンが訪れ、地元住民にも親しまれてきた。
 ただ、車両が造られたのは四十年以上前。雨風にさらされ、外壁の塗装や窓枠の腐食が目立つようになった。さらにコロナ禍が重なった。レストランの収益で修繕を考えていたが、ディナー営業の休止を余儀なくされ売り上げは激減した。
 そこで、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を八月下旬に始めた。一千万円を目標に専用サイト「READYFOR(レディーフォー)」で協力を呼び掛け、すでに多くの支援が寄せられている。
 「皆さんの愛情や期待の大きさを感じ、車両を簡単に撤去することはできない。何としても残していきたい」と嶋田さん。CFは十月十九日まで受け付け、来春には新しくなった姿をお披露目したいという。問い合わせは、PYC=電070(3860)0896=へ。

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