さいたま市大宮盆栽美術館 きょう開館10年 休館中も魅力発信を

2020年3月28日 02時00分

推定樹齢90年のモミジ「清玄」を手入れする中村さん。右隣のヤマモミジ(推定樹齢150年)が朱色に色づくのもこの時期の特徴=さいたま市大宮盆栽美術館で

 二十八日に開館十年を迎えるさいたま市大宮盆栽美術館(同市北区土呂町)。海外からの人気も集め、「盆栽と言えばさいたま市」のイメージ形成に一役買ってきた。新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休館を余儀なくされる中、静謐(せいひつ)な雰囲気が魅力の盆栽をどう伝えるか、スタッフらが知恵を絞っている。 (前田朋子)
 「モミジの新芽が深紅に染まるのは、この時期だけ。残念ですね」と、いとおしそうに手入れするのは盆栽技師の中村慎太さん(38)。中村さんによると、三~四月は、冬の間落ち着いた色合いだった庭園の盆栽が、新芽で優しい色に染まるお勧めの季節。特に花の盆栽は毎年同じように咲くとは限らず、樹齢の長い木にとっても「二度とはない春」。四月中~下旬が旬のフジのように二年に一度程度しか咲かないものもあり、中村さんは「今年は咲く年なので、何とか(新型コロナが)終息してくれれば」と祈るように話す。
 同館は今月、十周年記念展や花もの展示を行う予定だったが、軒並み中止に。外部の動画サイトを通じ、同館管理官を務める盆栽作家の山田登美男さんによる所蔵作品の見どころ解説などを行ったが、館としても「盆栽の春」を伝える独自の試みを模索している。
 二月下旬には会員制交流サイト(SNS)での名品の写真掲載も始めたが、「実物と対峙(たいじ)しないと木のエネルギーが伝わらない」(同館主事・橋本浩明さん)のが悩みの種。そこで、毎年三~四月に行っている鉢の植え替え作業の動画公開を始めた。
 盆栽は浅く小さい鉢に植えるため、伸びた根はインスタント乾麺のように絡まって詰まり、水や空気を取り入れるのが難しくなる。放置すれば枯死してしまうため、三~四年に一度、鉢から出して固まった土を取り除いて根を切り、場合によってはサイズの違う鉢に植え替える。およそ二百鉢の収蔵作品のうち、植え替え時期に当たるものの作業を公開するのが今回の企画だ。
 「珍しいことではないですよ」と中村さんは事もなげに言うが、今回の対象には評価額が「億」に上る作品も含まれる。根を切る場所を間違えれば枯れてしまう恐れもあり、「実はスリリング」な作業を淡々とこなす熟練の技が見どころだ。動画はユーチューブの「saitama citypr」チャンネルで、「盆栽の植え替え」vol.1~3を公開中。

盆栽美術館が公開している植え替えの様子の動画。目にも留まらぬスピードで根が切られていく

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