桜むしばむ被害拡大 外来害虫12市町で205カ所の報告

2020年3月29日 02時00分

フラスが大量に排出されている桜=深谷市で

 薄紅色の花を咲かせ、春の到来を告げる桜。新型コロナウイルスの感染拡大で漂う気鬱(きうつ)なムードを和らげてくれているが、県内では樹木を枯らす外来害虫「クビアカツヤカミキリ」に脅かされている。県環境科学国際センター(加須市)の昨年度の調査で、被害エリアの拡大が判明。担当者は「放っておくと、花見ができなくなる可能性もある」と懸念している。 (飯田樹与)
 クビアカツヤカミキリの成虫は体長約二・五~四センチで、胸部が赤いのが特徴。幼虫が樹木を内部から食べて成長し、枯死させる。中国やモンゴルなどが原産だが、二〇一二年に愛知県で初めて確認されると、翌一三年に草加市と八潮市でも見つかった。その後、県内の八市まで拡大した状況を踏まえ、同センターが一八年から「クビアカツヤカミキリ発見大調査」をした。県民に、幼虫が木を侵食する際に排出されるフンと木くずが混ざった「フラス」や成虫を探してもらい、樹木の被害や成虫の発生状況を確認している。

桜を枯らすクビアカツヤカミキリ(いずれも県環境科学国際センター提供)

 二回目となる今回は、一九年六月~今年二月の間に、十二市町で計二百五カ所の被害報告があった。前年の調査と比べると、四市町(吉川、三郷、鴻巣、寄居)、七十七カ所増えた。
 センターによると、クビアカツヤカミキリは、卵が産み付けられた輸入木材が国内に持ち込まれ、羽化して広まったと考えられる。県内では熊谷市六十八カ所、行田市四十六カ所、草加市四十四カ所の順で被害が多かった。県の北部と南部で発生源は別とみられる。
 今後は、県や被害が発生した市町による連絡会議を開いて防除体制を強化するほか、周辺市町との連携も検討。調査を継続して県内全域の状況把握にも努める。
 近年は、桜の老木化も指摘されている。クビアカツヤカミキリは、樹皮の割れ目に卵を産むことから、老齢木の方が産み付けられやすい上、樹勢が弱く被害も出やすいという。センターの嶋田知英研究企画室長は「一本の木に幼虫が十匹入るだけで枯らしてしまう。日本の桜にとって脅威だ」と警鐘を鳴らしている。

通行人の目を楽しませる満開の桜=24日、さいたま市で

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