<コロナ緊急事態>休業手当なし続出 「政府要請だから」助成金手続き煩雑

2020年4月16日 02時00分
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が発効してから一週間となり、宣言に従って休業した企業・店舗で、休業手当がもらえない社員が続出している。宣言下での休業手当の支給を一律に義務付けていない法律上の「抜け穴」や、手当を補助する雇用調整助成金の手続きの煩雑さが影響しており、救済策の強化が急務になっている。 (池尾伸一)
 「勤め先の家電量販店が長期間休むのに、休業手当がもらえず、生活が成り立たない」。労働組合「首都圏青年ユニオン」などが先週末に開いた相談ホットライン。男性派遣社員が訴えた。店側は、ショッピングモールに入居しており「政府の要請でモールごと閉まるのだから会社側の責任ではない」と主張しているという。約百五十件の相談の多くが「休業手当がない」「不十分」と訴える。
 連合の窓口にも「大学の食堂でパートをしているが、長期閉店になり賃金補償が何もない」(都内女性)などの悲鳴が相次ぐ。多くの弱い立場の人たちが手当もなく休まされている。
 要因の一つは緊急事態宣言下での休業手当を巡る法律的な不備だ。
 労働基準法は会社都合で社員を休ませる場合、非正規も含め賃金の最低六割を手当として支給するよう義務付ける。だが、知事の要請で業務を停止する場合は企業の都合とは言えず、義務付けの法的根拠があいまいになってしまう。
 この点は「特措法の欠陥」(野党)として国会で問題化し、加藤勝信厚生労働相は「一律に義務がなくなるわけではない」と述べた。ただ厚労省が先週公表した「新型コロナウイルスに関するQ&A」では、テレワークによる勤務なども検討した上での避けられない休業は、手当支払い義務はない「不可抗力による休業」だと明記。労働問題に詳しいNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏は「この基準なら手当を支払わない企業は相当数出てくる」と懸念する。
 厚労省は、法的には支払い義務がなくても、雇用調整助成金を使って「手当を支給してほしい」と言う。だが、同助成金は企業に一定の自己負担が生じるうえ手続きも複雑で、「非正規社員については助成金を使わず、手当を支給しなかったり、雇い止めをしてしまっている企業も多い」(連合幹部)という。
 今野氏は「雇用調整助成金を使えというなら特例で手当をすべて助成金でまかない、企業負担をなくすべきだ」と提案。東日本大震災の際に実際に離職していなくても雇用保険から失業手当を出した「みなし失業」の手法なども総動員し「働く人々の収入を保障することが急務だ」と訴える。
<雇用調整助成金> 従業員を解雇せず、休業手当を支給して休ませた企業に対する助成金。通常、中小企業で休業手当の3分の2、大企業には2分の1が支給される。新型コロナ対応で、助成率は中小企業で最大10分の9、大企業で同4分の3に引き上げた。週20時間未満勤務のアルバイトやパートも対象にした。政府は手続きも通常十数種類の書類が必要なところを半減するとしている。

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