デルタにカッパ…変異株ってそもそも何? ワクチンは効くの?<新型コロナ>

2021年9月13日 20時57分
 新型コロナウイルスの感染拡大につれ、イギリス(英国)由来の「アルファ株」やインド由来の「デルタ株」に加え、南米由来の「ラムダ株」「ミュー株」やインド由来の「カッパ株」など、さまざまな変異株が国内でも確認されている。新型コロナウイルスの変異株とは何なのか、ワクチンは変異株にも効果があるのか。気になるポイントをまとめた。 (デジタル編集部)

◆変異株ってそもそも何? VOC、VOIって?

 ウイルスは、遺伝情報のコピーを繰り返し増殖するが、ミスをして、遺伝情報が違うウイルスが生まれることがある。これが変異だ。こうした変異を持つウイルスを変異株と呼ぶ。ただ、ウイルスが変化することは普通のことで、ほとんどの変化はウイルスの特性にほぼ影響を与えない。世界保健機関(WHO)によれば、新型コロナウイルスも世界中で何百ものバリエーションが確認されている。
 そのうち、ウイルスの感染性や病原性、ワクチンの有効性等に影響を与える可能性がある変異株について、WHOや国立感染症研究所は「懸念される変異株(VOC)」と「注目すべき変異株(VOI)」に分類して監視。国内での検出状況などを加味するため、分類は国によって異なる。
 ウイルスがヒトの細胞へ侵入する足がかりに使うスパイクタンパク質の一部が変化するなど、VOCは、感染性や重篤度が増したり、ワクチンの効果を弱めたりするなどウイルスの性質が変化した可能性があるもの。WHOと感染研では、アルファ株(イギリス由来)、ベータ株(南アフリカ由来)、ガンマ株(ブラジル由来)、デルタ株(インド由来)をVOCとしている。
 一方、VOIは感染性や重篤度・ワクチン効果などに影響を与える可能性が示唆されているものを指す。感染研ではカッパ株(インド由来)をVOIとしている。
 WHOではVOIに分類されているラムダ株(ペルー由来)について、感染研が9月2日に公表した8月28日時点での資料では「検疫で未だ3例しか認められておらず、ペルー、チリ及びエクアドルからの渡航者も少ない。現状において、ラムダ株が国内で拡大するリスクは非常に低く、現時点では国内でVOCやVOIに位置付ける必要性はないと考えている」としている。
 このほか、ラムダ株と同様にWHOではVOIに分類されているイータ株(複数国由来)、イオタ株(アメリカ由来)、ミュー株(コロンビア由来)が、現時点で感染研の分類に含まれていない。
 「格下げ」もある。WHOが7月6日の週報でVOIから「さらなる監視のための警告」に引き下げたイプシロン株(アメリカ由来)、ゼータ株(ブラジル由来)、シータ株(フィリピン由来)などは、国内でも検出例がごくわずかだったり、見つかっていなかったりすることから、感染研もVOIから除外した。
 以前は最初に確認された国名を取ってアルファ株を「英国株」、デルタ株を「インド株」などと表記していたが、発音しやすく、差別的にならないような呼び方をWHOが検討し、5月末からギリシャ語のアルファベットの文字を使うことになった。

◆ワクチンは変異株にも効くの?

 変異株に対するワクチンの効果は、いくつかの方法で確認が進められている。
 1つは、ワクチンを接種した人の血清の中に存在する抗体が、ウイルスの細胞への感染をどの程度防ぐ(中和する)ことができるかを測定する方法。厚労省によると、米ファイザーや米モデルナのワクチンでは、ベータ株への中和作用が少し弱いものの、いずれの変異に対しても一定の中和活性があることが確認されたという。WHOは5月25日付けで、ベータ株だけでなくガンマ株でも「中和活性はみられるものの、少し低下する」と報告した。
 もう1つは、ワクチンを接種した人と接種していない人の感染や発症の状況を調べる方法で、厚労省によると、ファイザー製は、アルファ株ではワクチンの有効率に大きな低下は見られなかった。ベータ株やデルタ株では、有効率が少し低下するが、ワクチンは有効だったという報告もあったという。
 英国公衆衛生庁が公表したファイザー製ワクチン接種後の研究結果によると、ワクチンの発症予防効果は、アルファ株で約94%、デルタ株で約88%と報告されている。
 厚労省によると、英アストラゼネカ製のワクチンを2回接種した人の血清で変異株への中和活性を測定したところ、従来株と比較してベータ株に対する中和活性は約9分の1に低下し、一部の検体では中和活性が認められなかった。また、ベータ株に対するワクチン有効率が10.4%にまで低下することも確認されたとし、厚労省は「接種に当たって留意する必要がある」としている。一方、英国公衆衛生庁が公表した接種後の研究結果によると、アストラゼネカ製の発症予防効果はアルファ株で約75%、デルタ株で約67%と報告されており、アストラゼネカ製についても「一定の防御効果を示す可能性があると考えられる」としている。

◆それぞれ変異株、国内の感染状況は?

<アルファ株(VOC)>
 イギリス由来。感染研は5月、ほぼ全国的に従来株からアルファ株に置き換わったとの見方を示した。
 感染研によると、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は従来株に比べて平均1.32倍と、感染・伝播性が強まっている。海外では、入院や死亡リスクの上昇と関係している可能性が高いという分析結果があり、国内でも重症化リスクが従来株より高くなっていることを示唆する分析結果が示されている。
 国立感染症研究所などでの全ゲノム解析で確認されたアルファ株の感染件数は、8月30日時点で国内4万4557件、検疫で336件。
<ベータ株(VOC)>
 南アフリカ由来。
 国立感染症研究所などでの全ゲノム解析で確認されたベータ株の感染件数は、8月30日時点で国内24件、検疫92件で、前回からの1週間ではいずれも確認されなかった。
<ガンマ株(VOC)>
 ブラジル由来。
 国立感染症研究所などでの全ゲノム解析で確認されたガンマ株の感染件数は、8月30日時点で国内94件、検疫28件。
<デルタ株(VOC)>
 インド由来で、イギリスの報告によると、アルファ株よりも感染・伝播性が高いと見られている。厚労省がまとめた「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年9月版)」によると、国内ではデルタ株は、変異株PCR検査での陽性率(機械的な試算)が、全国的に約90%となっている。直近では、各地で10割に近い状況と推計されており、アルファ株からほぼ置き換わったと考えられている。
 感染研はデルタ株ではワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起こりえるとし、「未接種者に比べてデルタ株に感染するリスク、感染し発症するリスクは低下しているものの、感染者数が多い状況では、ワクチン既接種者も場面に応じた基本的な感染防止対策の継続が必要であると考えられる」としている。
 国立感染症研究所などでの全ゲノム解析で確認されたデルタ株の感染件数は、8月30日時点で国内1万5663件、検疫711件。
<カッパ株(VOI)>
 インド由来。検疫以外では6月に三重県で確認されている。
 国立感染症研究所などでの全ゲノム解析で確認されたカッパ株の感染件数は、8月30日時点で国内7件、検疫19件

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