雑多さが魅力「秋葉原は丸の内じゃない」…超高層ビル計画に揺れる電気街

2021年9月13日 22時47分

中央通りの西側に広がる再開発対象地区(画面左)。構想では、家電量販店「エディオン」などが並ぶ北側の一角に高さ170メートルのビルを建てる=いずれも東京都千代田区で

 昭和期から続く老舗家電量販店や、年季の入った雑居ビルが林立する東京・秋葉原。その一角に、高さ170メートルの超高層ビルを建設する再開発計画が持ち上がり、賛否両論が渦巻いている。推進側は新たなにぎわいの創出を訴えるが「電気街の個性が失われる」と反発する関係者も多い。必要な手続きは未着手のままで、具体化の見通しは立っていない。(井上靖史)

◆家電からマニアの店まで

 千代田区などによると、再開発対象はJR秋葉原駅の南西にある三角形の地区で、広さは約1.9ヘクタール。中央通りとJR総武線、神田川に囲まれている。「オノデン」「エディオン」など家電量販店が立ち並び、マニア向けの小さな電子部品店も軒を並べる。一方で、くノ一をイメージした女性スタッフが出迎える「忍者喫茶」など今風のスポットも進出している。
 地権者らでつくる再開発準備組合は、高さ170メートルと50メートルのビルを建設する構想を描く。うち170メートルビルは、地区内北側の家電量販店が並ぶ一角に建てる予定で、完成すれば秋葉原・御茶ノ水地区で一番高いビルになる見通し。

◆個性か集客か

 「秋葉原には、丸の内や大手町にあるようなビルはいらない」。地権者の1人の不動産会社経営、角田一郎さん(59)は訴える。電子部品店「日米商事電子部」の男性店主も「雑多な魅力がなくなれば、ほかの街と同じようになってしまう」と心配そうに話した。
 秋葉原では2000年代に駅周辺の再開発が加速し、秋葉原ダイビル(31階)、秋葉原UDXビル(22階)など超高層ビルが相次いで完成した。ただ、今回の再開発地区を中心とする中央通り西側には開発の波は及ばず、旧耐震基準で建てられたビルも少なからず残っているという。
 組合理事長のオノデン社長、小野一志さん(68)は「このままでは地域間競争に勝てない」と危機感を示す。「客を呼べる施設にするため、何ができるか。地域の人たちの意見を十分に聞いて計画を進めていきたい」と理解を求めている。

地区内に張られた再開発計画に反対するビラ

 地区内にある区施設の清掃事務所や葬祭場を一体で開発することの是非も議論となっている。区議の1人は「改修が必要になった時に身動きが取れないのではないか」と懸念するる。

◆建築計画めど立たず

 区が7月までに約30の民間地権者に再開発の賛否を尋ねたところ、面積ベースで賛成は半分ほどにとどまった。区議会にも再開発事業反対の陳情が出され、今も審査中となっている。
 区は7月にも、区都市計画審議会に対し再開発事業に関する申請をする予定だったが、延期を決めた。担当者は取材に「議会の陳情審査でもさまざまな意見が出ており、現時点で区として計画推進のめどを示せる状況にはない」と話している。

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