木村花さんの母響子さん「大きな一歩」 侮辱罪に懲役刑、法務省が方針

2021年9月14日 22時04分
今年6月・自民党小委員会の山下貴司委員長(右)から緊急提言を受け取った木村響子さん=東京・永田町の党本部で(NPO法人「リメンバー・ハナ」提供)

今年6月・自民党小委員会の山下貴司委員長(右)から緊急提言を受け取った木村響子さん=東京・永田町の党本部で(NPO法人「リメンバー・ハナ」提供)

 インターネット上の誹謗中傷対策を強化するため、法務省は刑法の「侮辱罪」を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めた。木村花さんの母響子さん(44)は、昨年5月に花さんが亡くなった後、インターネット上の中傷の根絶に向けて、奔走してきた。法制審で厳罰化の議論が進むことに「大きな一歩だ」と語る。

◆科料9000円にがく然

 「こんなに軽いなんて」
 木村さんのツイッターに「生きてる価値あるのかね」「いつ死ぬの?」などと書き込んだ大阪府の20代男性と福井県の30代男性が今春、科料9000円の略式命令を受けたというニュースを見て、響子さんはがくぜんとした。「『言った者勝ち』と思われるのでは」
 総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられたネット上の被害相談は2020年度、5407件で、10年前の1337件から約4倍に増えた。

◆誹謗中傷があふれているのに…

 「SNS全盛の世の中で、ネット上には誹謗中傷があふれている。明治時代に制定され、口頭での悪口を想定していた現行法は、今の時代に合わない。刑罰が軽いという実情が知られていないのも問題だ」。そう感じた響子さんは4月、侮辱罪の厳罰化を求める署名の呼び掛けを始めた。
 響子さんの要望を受け、自民党の小委員会は6月、罰則強化を柱とする緊急提言をまとめた。法務省でも花さんの死去後の昨年6月、省内にプロジェクトチームを設置し、侮辱罪の罰則のあり方について議論を進めていた。「迅速に対策が進んだ。追加案の罰則ではまだ軽いと感じるが、抑止力になると期待している」と響子さんは話す。

◆「被害者は心えぐられる」

 今年4月には改正プロバイダー責任制限法が成立し、匿名の投稿者を特定しやすくなった。だが、情報開示の手続きに多額の費用がかかるなど、ネット中傷を巡る課題はまだ多い。響子さん自身もNPO「リメンバー・ハナ」を設立し、SNSとの付き合い方を動画や講演で啓発するなど力を入れる。
 花さんへの中傷の「証拠」を残すため、寝ずにツイッターの悪質投稿を保存し続けた響子さん。「涙が止まらず、ストレスで字は読めても文章が理解できなくなった。娘に限らず、中傷を受けた人にはとても耐えられない作業だろう」と振り返る。
 「被害者は中傷によって心がえぐられ、日常生活すらままならなくなる。お金がない若者でも救いを求められるよう、救済の窓口を全国に作ってほしい」と訴えた。(小沢慧一)

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