メガソーラー 塩漬けの土地が「財源」に 潮来、災害時拠点にも 笠間では土砂崩れ懸念の声も

2021年9月15日 07時58分

道の駅いたこの展望台から一望できる「水郷潮来ソーラー発電所」=潮来市で

 メガソーラーが地域との共生に成功している例の一つが、霞ケ浦を望む「道の駅いたこ」(潮来市)に隣接する「水郷潮来ソーラー発電所」だ。二〇一四年二月に運転を始めた。
 市有地、民有地を合わせ約十八万平方メートル(東京ドーム三・八個分)の土地に約六万枚の太陽光パネルが並び、一般家庭四千世帯の消費電力に相当する年千四百七十万キロワット時を発電。杉の木三十九万本相当の年五千五百トンの二酸化炭素(CO2)を吸収するという。
 もともとは、長年活用されず維持費がかさんでいた土地。それが賃借料、固定資産税、法人市民税を合わせ、二十年間で十一億円の収入が見込まれる「財源」に化けた。このほか、収益の一部が市内九つの小中学校に毎年寄付され、教材やソフトウエアの購入費などに充てられている。
 「塩漬けだった土地が地元に役立つ形で活用され、しかも市の収入になる。喜ばしい」と、潮来市の永山由治(よしはる)企業誘致推進室長。道の駅の敷地内には、太陽光パネルを備えた街灯や、携帯電話などの充電に電力を供給できる小型の風力発電施設もあり、災害時の拠点となる「防災道の駅」への選定を目指している。
 発電事業者の水郷潮来ソーラーに出資する「レノバ」(東京都)広報室の東山智子さんは「訪れた方に再生可能エネルギーへの理解を深めていただき、地域とともに歩む発電所でありたい」と話す。(宮尾幹成)

◆笠間では住民と対立

 笠間市本戸臼木地区。標高二五〇メートルほどの山肌には、ソーラーパネルがびっしりと並ぶ。ただ、周辺の県道沿いには「太陽光発電建設絶対反対」との看板も。
 開発面積は東京ドーム四・七個分の二十二ヘクタールで、出力は約一万二千キロワット。東京都の業者が二〇一七年に着手した工事は終了し、既に発電を始めている。
 開発の話が持ち上がったのは一三年ごろ。業者の担当者が土地の譲渡や賃貸しを打診して回ったが、住民の多くは「環境破壊につながる」との危機感から拒否。地区内の約五十戸のうち三戸しか応じなかった。
 住民らによると、業者は市の太陽光発電設置条例に基づき、一六年三月に住民説明会を開催。だが、出席者は開発に理解を示した三戸のみだった。業者は県外に住む近隣の地権者からも土地を取得し、必要な面積を確保したとみられる。
 住民の男性は「何とか説明会を開いて条例に合わせた形にしている。土砂崩れがあったらどうするのか」と怒りをあらわにする。
 業者は本紙の取材に「県及び市と協議し、法に基づいて工事している。担当者が説明会の前から住民宅を戸別に訪問し、説明した。(開発地に)隣接する住民には防音対策費も支払っている」と答えた。
 今年七月に静岡県熱海市で発生した土石流では、現場周辺のメガソーラーとの関連について検証を求める声も上がる。小泉進次郎環境相は、災害リスクが指摘される地域での太陽光発電所の設置規制に乗り出す方針を示している。(出来田敬司)

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