中国で新発見の恐竜の名前は「ノビタイ」 命名した研究者「私も昔、のび太だった」 ドラえもん映画の一場面から着想

2021年9月15日 11時30分
 中国で昨年発見された恐竜の足跡化石が新種と判明し、藤子・F・不二雄さんの人気漫画「ドラえもん」の登場人物「のび太」にちなみ「エウブロンテス・ノビタイ」と名付けられた。命名者の邢立達(けいりつたつ)・中国地質大准教授(39)は映画の中で、のび太が恐竜に自分の名前を付ける場面があったことから、「彼の願いを現実の世界でかなえたいと思った」と理由を語った。(北京・坪井千隼)

てんとう虫コミックスアニメ版「映画ドラえもん のび太の新恐竜」から=©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

◆のび太+人名の「イ」で命名

 邢さんら研究チームは今年7月、新種の恐竜発見について研究成果を論文にまとめ発表。映画「ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年公開)で、のび太が恐竜に「ノビサウルス」と名付けるシーンがあったことから、「のび太」にラテン語で人名を示す「イ」を付け、「ノビタイ」と命名した。
 「のび太やドラえもんの冒険は、私にとって宝石のような存在。私は幼いころ、のび太のような子どもだった。昔の自分がのび太に重なって思えたことも、名前を決めるきっかけになった」。8月中旬、北京で本紙のインタビューに応じた邢さんは、子ども時代を懐かしむように語った。
 邢さんが小学生だった1990年代、中国ではドラえもんのアニメがテレビで放送された。漫画本も書店に並び、多くの子どもたちが夢中になった。

「エウブロンテス・ノビタイ」の想像図=古生物画家の張宗達氏が制作、提供

◆科学に興味持つきっかけに

 「私は子どものころ、のび太のように学校の勉強はあまり好きではなく、けんかも弱かった。体の大きな同級生にいじめられることもあった」。そんな邢さんにとって、ドラえもんのアニメや漫画は、最高の楽しみだった。次々と登場する不思議な道具や冒険に夢をふくらませた。「未知の世界に好奇心を持ち、科学に興味を持つきっかけになった」

北京で8月、新種の恐竜に「ノビタイ」と命名した理由について語る邢立達准教授=坪井千隼撮影

 ドラえもんと同じぐらい夢中になったのが、恐竜の本だった。太古の地上を支配していた大型動物の姿を想像し、心躍らせた。高校生のときには恐竜をテーマにしたホームページを制作し、集めた情報を掲載した。大学院に進学し、恐竜など古生物について学び、研究者の道に進んだ。

◆見たことのない足跡に興奮

 昨年7月、中国南西部四川省の山間部の沢で、上流から雨で流された岩の表面に、恐竜の足跡らしき化石が見つかった。以前からこの地域の研究を進めてきた邢さんは、地元の人から連絡を受けて駆けつけた。「今までに見たことのない足跡だった。新種の恐竜かもしれないと胸が高鳴った」

2020年8月、中国四川省で見つかった新種の恐竜の足跡化石。「エウブロンテス・ノビタイ」と命名された=邢立達准教授提供

 足跡は4カ所で見つかった。足裏の長さは約30センチで体長4メートルと推定。邢さんら研究チームの調査の結果、形状から約1億2500万年前の白亜紀前期の肉食恐竜で、「エウブロンテス」属の新種と分かった。
 恐竜に「ノビタイ」と命名することは、研究チームの他のメンバーとも話し合った。「チームのメンバーは20~30代の若者。中国のこの年代の人たちにとっては、ドラえもんは子ども時代の最も楽しい思い出の一つ。仲間たちは喜んで認めてくれた」
 化石は発見場所で保存されているが、邢さんらはレプリカを作製。「日本の人たちにもノビタイを知ってほしい」と、東京・上野の国立科学博物館にレプリカを寄贈した。レプリカは同博物館で11月30日から12月12日まで展示予定。邢さんは「特に子どもたちに見てほしい。恐竜など太古の生物に関心を持ってもらえたら」と話す。

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