殺虫、防虫ではなく「逃虫とうちゅう」 触らずに捕獲して家の外へ…日大生のアイデアがコンテストで優勝し商品化

2021年9月15日 17時00分
 家に入ってくる嫌な虫を殺すことなく、捕獲して家の外に逃がす「逃虫とうちゅう」という考え方。日本大商学部4年の4人が企業と共同で、そのアイデアを形にした新商品を発売したところ、予想以上に売れ行き好調だという。代表の浅下義幸さん(22)は「これまでの『殺虫』『防虫』ではない第三の考え方。新たな市場に育ってほしい」と期待する。(青木孝行)

◆「虫が大嫌い」メンバーの声がきっかけで

「逃虫」市場の創出に意欲を示す日大商学部の(右上から時計回り)浅下義幸さん、大庭周也さん、池上日菜子さん、村上優衣さん

 4人は、大学のゼミでマーケティングなどを学ぶ仲間。昨年、全国の大学3年を対象にしたゼミ対抗の商品企画コンテストに出場して優勝し、段ボールケースなどの製造・販売「美販」(大阪府東大阪市)から、再生プラスチック製のクリアシートを使って新商品を共同製作する権利を与えられた。
 新商品は「むしキャッチリー」。コンテストの企画会議で、メンバーの池上日菜子さん(22)が「虫が大嫌い。うちに入ってきた虫を手で触らずに捕獲するにはどうすればいいか。できれば生かして外に逃がしたい」と話したことが、商品開発につながった。

◆8月には1500個を完売

 商品は、下部に穴の開いた2重構造の透明な長方形の箱で、取っ手を使って内側の箱を手前にスライドさせることで虫を捕獲。逆方向にスライドさせて、虫に触らずに外に放出できる。カメムシやカナブンなどの虫の他、クモもターゲット。インターネット通販大手「アマゾン」で購入でき、価格は800円(送料・税込み)。商品は購入者が組み立てる。

虫嫌いな人でも虫やクモを捕獲しやすい新商品「むしキャッチリー」=浅下義幸さん提供

 販売元の美販によると、6月に発売し、8月には計1500個を完売した。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で、虫の捕獲方法を紹介し、人気を呼んでいることから、3000個を追加生産し、販売している。
 4人は、新商品を売り込むために、昨年10~11月にかけて18歳以上の男女を対象に、「逃虫」商品の需要をインターネット調査した。家にクモが出たときの対処法を尋ねたところ、196人のうち、約45%に当たる89人が「(殺さずに)逃がしたい」と回答。これを踏まえ、国内では約160万人の需要があると推定した。

◆「巣ごもり」で殺虫剤の需要増

 市場調査会社のインテージ(東京)によると、2020年の家庭用殺虫剤の国内販売額は、前年比15・4%増の約1479億円。「巣ごもり」による内食機会が増加した結果、需要が伸長したと分析している。家庭用防虫剤は、前年とほぼ横ばいの約250億円だった。
 新商品を開発するきっかけとなったコンテスト「StudentInnovationCollege 2020」(Sカレ委員会主催)で、昨年は25の大学から403人(1チーム3~5人)が出場した。7つの企業・自治体から与えられた各テーマに沿って商品化の権利を競い合った。浅下さんらは、17チーム出場のテーマ「クリアシート小物」部門で、最高賞のプラン優勝と、学生賞に輝いた。
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