カードゲームで遊ぼう カジークジー(家事育児) 分担ダイジ

2021年9月16日 07時07分
「カジークジー」を作った(左から)斉藤広幸さん、松浦雅史さん、松本浄さん

「カジークジー」を作った(左から)斉藤広幸さん、松浦雅史さん、松本浄さん

  • 「カジークジー」を作った(左から)斉藤広幸さん、松浦雅史さん、松本浄さん
  • トラブルカードにはこうした「名もなき家事」も
 多くの夫婦が悩む仕事と家事、育児の分担。何となく分けていると夫婦げんかの火だねになることも。そこで東京青年会議所(JC)板橋区委員会などが、話し合うきっかけにと、カードゲームを作った。名付けて「カジークジー」。お互いの能力や家事、育児にかかる労力を、数値で「見える化」したことが特徴だ。
 「分担をきちんと話し合ったことのない夫婦は意外に多い。ゲームを楽しむことで、話し合うきっかけになれば」と、開発の中心となった松浦雅史さん(39)は語る。先月、区内で開いた体験イベントには、夫婦ら十組が参加。「ゲームで実体験を振り返れる」「互いの得手不得手を考えながら話せる」と好評だった。
 ゲームは、まず相手の「能力値(ステータス)」を、合計33になるように五項目ごとに10段階で決める。例えば夫は力(仕事力)7、体力9、器用さ4、知力5、愛8。妻は、力8、体力5、器用さ6、知力7、愛7とする。生命力を示すHP(ヒットポイント)は、それぞれ500。この数字が日々の家事、育児で削られていく。
 家事、育児には第三者や便利な家電の助けも必要だ。「育児支援ヘルパー派遣」「病児・病後児保育」といったヘルプカード、「洗濯乾燥機」といったスキルカードを、一枚ずつ引ける。
 さあ、ゲームスタート。百四十六枚のトラブルカードの山から、四枚を引いて場に並べる。これが一日分のトラブル。夫は「仕事のクレーム発生」「トイレ掃除」を、妻は「真夜中に轟(とどろ)く夜泣き!」「保育園の連絡帳を書く」を担当した。分担は、三対一でも四対〇でも構わない。
 カードの裏には、トラブル解決に必要な能力値が記されている。妻が分担した「夜泣き」は体力7、知力4、愛7。妻の体力が足りないので失敗だが、「育児支援ヘルパー派遣」のカードを持っていたので成功。「連絡帳」(知力6、愛5)もクリアした。
 夫は「トイレ掃除」(器用さ4、愛4)は成功。でも「仕事のクレーム」(力5、知力10)の処理は失敗し、HPが40減ってしまった。成功してもHPはトラブル一枚につき10減る。「うまく解決しても、小さな疲労は日々たまっていく」(松浦さん)からだ。
 一日分を終え、夫のHPは残り450。妻はダメージ0でクリアできるヘルプカードを使ったので490。これを五日分繰り返すと、やっと週末。「趣味の時間」といったホリデーカードでHPを回復させ、新たなヘルプカードとスキルカードもめくれる。次の五日はトラブルカードを一日六枚、その次の五日は一日八枚と厳しくなっていく。十五日分を終え、二人がより多くのHPを残すことがゲームの目標だ。

▼夫婦で協力 HPを残せ

 面白い…というか怖いのは、自分の能力値を決めているのはパートナーで、自分はどの項目が何点なのかわからないところ。「やれる」と思っていても、能力不足でトラブル解決に失敗することも。ゲームを進めるうちに「器用さが低いと思われているのか?」などと、パートナーの本音が見えてくる。
 カードのデザインは「いたばしの地域ボードゲーム会」の松本浄さん(42)が細部まで作り込んだ。体験イベントの参加者から「買いたい」との声もあったが、今のところ非売品。開発に関わった昭島市の高木駿さん(37)は「板橋だけにとどめるのはもったいない。多摩地域でも広めたい」と意気込む。企業研修や教育現場での活用を提案する声もあり、作成事業の実行委員長、斉藤広幸さん(40)は「JCの手を離れて活用してもらえるならうれしい」と話す。
 問い合わせは、いたばしの地域ボードゲーム会のホームページから。
 文・林朋実/写真・高嶋ちぐさ
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