熱海土石流 盛り土造成会社、過去にトラブル 市、土砂撤去など1000万円負担

2021年9月16日 07時58分

土石流災害の被災者を悼み黙とうする市議ら=熱海市議会で

 熱海市議会九月定例会が十五日開会し、七月に伊豆山(いずさん)で発生した土石流災害に関する質疑が相次いだ。被害を甚大化させたとされる盛り土の問題には、市は「検証作業中で、調査結果を踏まえて答える」との答弁を繰り返した。また、盛り土の造成会社が、過去に市内の別の場所で起こした土砂トラブルで、市が土砂の撤去費などに計一千万円以上を代わりに負担していたことが明らかになった。(山中正義)
 斉藤栄市長は発災以降、行方不明者の捜索や被災者の生活再建に力を入れてきたと説明。「(盛り土造成の)法令違反については、今後の検証で明らかにしたい。行政指導の内容も報告できる状況でなく、公表できない」と述べた。
 盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社を巡っては二〇〇七年、今回の盛り土崩落現場より高い場所で山林が崩れ、この会社の所有地内にある市の水道施設を直撃。市が土砂や倒木の撤去を求めたが、応じなかった。市は撤去費などに百六十二万円を負担したという。
 一二年にはJR伊豆多賀駅近くの宅地造成開発で土砂流出トラブルがあった際も、市が土砂撤去などの工事費九百二十一万円を代わりに支出。斉藤市長は「弁護士などとも相談したが、(業者への)費用請求と行政処分、告発には至らなかった」と説明した。
 遺族が起点の土地を所有していたこの会社の当時の代表者らを刑事告訴したことについて、「司法機関による解決の可能性が高まっていることから、市はそれに協力する立場にある」と応じた。
 定例会では、土石流の原因を究明するため、地方自治法に基づく特別委員会(百条委員会)設置を求める動議が提出されたが、市や県による調査報告後でも遅くないなどとして否決された。会期は災害対応を優先するため十五日のみの一日に短縮。冒頭では土石流災害の犠牲者を悼んで議員らが黙とうした。
 また、被災者の避難先となっていたホテル「熱海金城館」は十五日、使用期限を迎えた。県営住宅などへの転居が済んでいない被災者は、市内の別のホテルへ移った。市によると、同日正午現在、三十五世帯七十四人が避難している。

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