<18歳成人 マネー学園>クレジットカード編 (5)キャッシュレス

2021年9月16日 15時39分
 金田先生(以下、金) 今日のお昼はカレーパンとカツサンド、メロンパンにしとくか。(カードをかざして)ピッ。
 まねお(以下、ま) 食べすぎだね。クレジットカードも使いすぎじゃないの?
 金 失敬な。それに今のはカード式の電子マネーだぞ。
 ま 最近、使う人が多いみたいね。
 金 現金を使わずに支払いをするという点では、クレジットカードも電子マネーも同じだ。銀行などが発行するデビットカードやスマートフォン決済もそう。これらをひっくるめて「キャッシュレス決済」と言う。
 ま それぞれ何が違うの?
 金 クレジットカードは、カード会社が代金を立て替え、後から請求がくるが、デビットカードは買い物と同時に自分の銀行口座から代金が支払われる仕組みだ。一方、電子マネーは基本的に事前にカードにお金をチャージし、その金額の範囲内で買い物に使える。Suica(スイカ)やWAON(ワオン)、nanaco(ナナコ)などがこれだ。
 スマホ決済は、スマホのアプリにクレジットカードや銀行口座、電子マネーを登録し、店のQRコードを読み取るなどして支払う。これもPayPay(ペイペイ)やd払い、楽天ペイなど、たくさんの種類のサービスがある。
 ま ややこしいね。
 金 財布から現金を出したり、お釣りで小銭が増えたりするのが煩わしいという人にとって、カードやスマホでぱっと払えるのは魅力だろう。コロナ禍の中、人との接触を減らせるという利点もあるしな。
 それに、使った額に応じて1%や0.5%などのポイントが還元されるから「現金よりお得」と考える人も多い。ただ、ポイント還元の条件はサービスによって違い、仕組みも複雑。安易に飛び付かず、本当に得かどうか落ち着いて考えないといけない。
 ま どれを使おうかな。
 金 店によって使えるサービスが違うから、複数の決済手段を持っている人も多いが、種類が増えるほど、いくら使ったのか管理するのが大変。気付いたら使いすぎていた、ということになりかねない。キャッシュレスは便利だが、きちんと管理しなくちゃいけないぞ。
 ま 分かったよ。ちなみに先生の電子マネーの残高は?
 金 3000円ぐらいだったかな。明細を見ると…あれ、500円? まずい、今月のお小遣いが底をつきそうだ。
 ま 大人もお小遣いのやりくりが大変なんだね。
(河郷丈史、協力・一般社団法人ウーマンライフパートナー)

<ふかぼり>現金志向が根強い日本

 経済産業省の資料によると、キャッシュレス決済の比率は年々増え、2020年は29.7%で10年前の2倍以上となっている。
 ただ、海外の比率(18年)は韓国9割、中国8割、カナダ6割、米国5割などで、日本は他国に比べて現金志向が強い。同省は25年までに4割、将来的には80%を目指すとしている。
 =10月7日から「銀行編」を始めます

<課外授業>なぜ使いすぎる? お金使う「痛み」少ない

 現金と比べ、使いすぎが起きやすいとされるキャッシュレス。「マネー学園」クレジットカード編の学習の仕上げとして、心理学の分野から消費者の行動を研究している神戸学院大教授の秋山学さん(55)=写真=に、キャッシュレスで買い物をするときの心のメカニズムや注意点を聞きました。 (聞き手・まねお、編集・河郷丈史)
 -なぜキャッシュレスはお金を使いすぎてしまうのですか?
 キャッシュレスはお金を使ったという実感がなく、いくら払ったのかを覚えにくいという特性があります。
 現金で支払うとき、私たちは財布を開け、小銭やお札を数えて取り出すという作業をします。その中で「一万円ある」とか「千円しかないな」とか感じますし、お釣りを計算して、小銭やお札の組み合わせも考えます。お金を使った実感はこれらの作業から生まれ、心理的な「痛み」も感じます。
 キャッシュレスの場合も、支払額をちらっと見たり、カードを端末にかざしたりといった作業はありますが、現金払いの作業よりも記憶のレベルが低い。ある海外の研究で、買い物をした人に支払額を聞いたところ、現金で払った人よりも、クレジットカードで払った人の方が額を覚えていなかったり、実際よりも低い額を答えたりする傾向がありました。
 -金田先生が電子マネーの残高を勘違いしていたのもそのせいですね。
 クレジットカードは所持金の制約なしに使え、毎月の支払額が一括で請求されるため、買い物ごとに感じるはずの痛みが減ります。毎月一定額を返済するリボ払いも、それぞれの買い物の金額と毎月の支払額が合わず、痛みを感じにくい。お金が実際に増えたわけではないのに「心理的財布」が膨らみ、使いすぎの危険性が高まります。
 また、キャッシュレスで還元されるポイントは多くの場合、一ポイント=一円として次の買い物などに使えます。注意すべきは「円」という通貨単位ではなく、「ポイント」と呼ぶ点。別の財布にお金がたまるような感覚で、同じ額の値引きよりもお得に思いがちです。
 -どうすれば使いすぎを防げますか?
 キャッシュレスを始めるなら、まずはカード式の電子マネーなど事前にチャージするタイプを選び、月ぎめのお小遣い制のように一定期間、決まった額の範囲内で使うのがお勧め。月のお小遣いが五千円なら、その額だけをチャージして一カ月やりくりしてみて、現金との違いを感じたり、自分なりの工夫を考えたりするといいでしょう。
 支払いの痛みがない分、いくら使ったのかを意識して確認するのは、キャッシュレス時代に求められる新しいスキル。スマホのアプリでチャージや支払いの履歴を確認できるし、買い物後に取引内容が自動的に通知されるサービスもあるので、うまく活用しましょう。

◆高校生50%中学生35%  「決済をしたことある」

 三井住友カードが昨年6月、中高生の保護者500人とその子どもたちに聞いた調査によると、「キャッシュレス決済をしたことがある」と答えた高校生は50%、中学生は35%だった。
 一方、定期的にお小遣いをもらっている中高生のうち、現金でもらっているのは93%。現金でお小遣いをもらい、自分でキャッシュレスにチャージして使っているとみられる。キャッシュレスを使う場所はコンビニが最も多く、決済手段は「電子マネー」がトップだった。

関連キーワード

PR情報

ライフスタイルの新着

記事一覧