ミサイルにミサイルで対抗…朝鮮半島南北で軍拡激化の懸念

2021年9月16日 20時51分
 【ソウル=相坂穣】北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、「鉄道機動ミサイル連隊」が15日に列車上の発射台からミサイルを発射する訓練を実施したと報じた。日本の排他的経済水域(EEZ)内まで約750キロ飛んだ短距離弾道ミサイルを指すとみられる。韓国の文在寅ムンジェイン政権は南北融和を掲げる一方、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など軍事力を拡大。南北の軍拡競争の激化も懸念される。

◆「自衛」「抑止力」…

 北朝鮮の15日の弾道ミサイル発射は、韓国のSLBM発射実験に対し、先手を打って行われたとの見方がある。韓国軍は15日午後、西海岸で潜水艦「島山安昌浩トサンアンチャンホ」(3000トン)からSLBMを発射し、目標に命中したと発表。文大統領が「北朝鮮の挑発への抑止力となる。北朝鮮を圧倒する多様なミサイル戦力を増強する」と述べた。
 金正恩キムジョンウン朝鮮労働党総書記の妹の金与正キムヨジョン党副部長は15日夜の談話で、自国の兵器開発を「自衛的な活動」だと正当化し、文大統領を「愚蒙」と批判。韓国国防省が2022~26年度に国防予算を年平均で6%増額する国防中期計画についても「朝鮮半島の緊張を高める」と批判した。

◆韓国の防衛予算は5年で37%増

 韓国政府が8月末に発表した22年度の国防予算案は55兆2277億ウォン(約5兆3000億円)で、日本の22年度の防衛予算の概算要求の5兆4800億円に迫る。日本の防衛費は国内総生産(GDP)の1%以内が目安とされてきたが、韓国国防費は2%台で推移している。
 李明博9イミョンバク政権の当初の09年度に約28兆ウォンだった国防費は10年余りで2倍近くに増加し、特に文政権発足後の増加幅は5年間で約37%と顕著だ。文氏は、米軍に頼らない「自主国防」を公約に掲げ、軽空母の建造、ステルス戦闘機の配備などを推進している。国防省は15日のSLBM発射成功に続き、16日、北朝鮮を独自で偵察できる小型衛星を24年ごろに打ち上げると発表した。

◆中国は北も米韓も牽制

 韓国の軍事力増強は、長期のアフガニスタン派兵などで疲弊した米軍の海外駐留の削減を目指すバイデン政権の方針とも合致する。米中対立を深める中国は、米国が支持する韓国の戦略兵器開発を警戒する。
 訪韓中だった中国の王毅おうき外相は15日昼に北朝鮮のミサイル発射の一報を受け、「一方の軍事的措置が朝鮮半島情勢の悪循環を招いてはならない」と、北朝鮮側だけでなく、米韓にも自制を要求したという。

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