まさか再登板狙い!? 菅首相、辞める直前の訪米って…その真意は 政権発足、寂しく1年

2021年9月17日 06時00分
 自民党総裁選告示前日の16日、菅内閣がひっそりと発足1年を迎えた。就任時は「パンケーキが好物」といった話題で持ち上げられていた首相の凋落ちょうらくはご存じの通り。だがここへ来て何と、退任前では異例の訪米が決まった。もうすぐ次の首相が選ばれる時期の外遊には、批判が続出。立つ鳥跡を濁さずか、いたちの最後っか。政権の晩節が問われている。(中山岳、中沢佳子)

菅首相のポスターが張られた自民党本部前=9月16日、東京・永田町で

◆フィーバーあっという間

 16日の永田町。平日だが、国会閉会中のためか人通りは少なかった。
 地下鉄永田町駅近くを歩いていた介護福祉士の60代女性。「今日で菅内閣1年? 気が付かなかった。もう辞める人ですからねえ」と淡々と話す。
 昨年9月の内閣発足直後の支持率は共同通信社の世論調査で66.4%を記録。近くにあるホテルニューオータニのパンケーキが菅首相のお気に入りであることまで話題になったが、女性は「1年前は秋田県出身で苦労人とか、パンケーキが好きだとかで盛り上がっていたけど、今もコロナ禍は収束していない。次の首相や国会議員、メディアは、政治がやるべきことをもっと考えて」と厳しかった。
 国会周辺を歩いても、「菅内閣1年」への関心は薄く、気が付いていた人はほとんどいない。国立国会図書館から出てきた自営業大久保久子さん(75)は「最近の菅首相は元気がなさそうで、パンケーキを食べる余裕もないのでは」と心配しつつ、「ワクチン接種を広めたとは言っても、コロナ禍で五輪を開催したのは本当に良かったのか」と疑問を口にした。
 首相官邸に近い衆議院第一議員会館では、議員秘書とみられるスーツ姿の人々らが出入りしていた。忙しいのか、声をかけても「予定がある」「忙しいので」と、言葉少なく立ち去っていく。近くで信号待ちをしていた横浜市の自営業男性(55)は「菅首相がコロナ対応と両立できないから総裁選に出ないと言ったのは、信じられない。勝てる見込みがないから出ないだけでしょう」と話した。

◆「コロナ専念」なのに外遊

 菅首相が退陣表明後も「コロナ対策に専念」と強調していることには、疑問符がつけられている。政府が今月下旬からの訪米を発表したからだ。23日に出発。翌日にワシントンで開かれる日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会合に臨む。バイデン米大統領との個別の首脳会談なども調整中で、26日ごろに帰国する予定という。
 退任間際の首相が外遊するのは異例。クアッドの会合は中国への対応やコロナのワクチン供給がテーマとされるが、野党からは「卒業旅行だ」との批判も上がる。ネット上でも「いまさら行っても意味がない」や「リモートでやれ」といった意見が相次ぐ。
 永田町を通る人たちも例外ではなかった。自民党本部近くのバス停にいた主婦(72)は「退任直前で、外交を進める力も足りないでしょう。なぜ行くのか分からない」と話す。参議院議員会館近くを歩いていた80代男性も「何で辞める人が外遊に行くのかね。次の首相が行くように日程を調整できなかったのかな」と納得いかない様子だった。
▶次ページ 「私たちも反省を」
前のページ

関連キーワード

PR情報