<社説>雇用調整助成金 財源の確保を最優先で

2021年9月17日 07時16分
 政府が雇用確保の切り札とする雇用調整助成金の財源が底をつく寸前に陥っている。厚生労働省は財源強化に向け雇用保険料引き上げを模索するが労使共に反発は強い。職場を守るためには躊躇(ちゅうちょ)なく一般会計からの繰り入れで不足を補うべきではないか。
 助成金は休業期間中の企業に対し従業員の手当を補助して解雇や雇い止めを防ぐ制度だ。コロナ禍で申請は激増し特例として助成率も引き上げたため給付額が前例のないレベルで膨れ上がった。
 助成金は雇用保険の保険料を積み立てた雇用安定資金を主な財源としている。一昨年度末で一兆五千億円程度積み上がっていた資金は既に使い切り、一般会計からの繰り入れのほか失業給付の積立金などを充当してしのいでいた。
 しかしデルタ株が猛威を振るう中、申請は減る気配を見せず財源の枯渇は時間の問題となった。助成金を頼りにしているのは飲食店などの中小事業者が中心だ。早急に財源不足を解消しなければ膨大な失業を生む恐れさえある。
 制度を所管する厚労省は労働政策審議会で雇用保険料引き上げの議論を開始した。だが労働者の負担増に直結する引き上げには異論を唱えざるを得ない。少額の引き上げでも従業員の暮らしにとっては打撃になるためだ。
 コロナ禍以降、助成金の給付額は四兆三千億円を超えた。この間、失業率は3%程度に踏みとどまっており、制度は確実に効果を上げているとみていい。
 二〇二〇年度の予算は三十兆円が未消化のまま残った。保険料引き上げの前に余った予算で補正を組んで充当すべきだ。来年度予算編成でもコロナ対策は金額を示さない事項要求の対象で、繰り入れは容易にできるはずだ。
 コロナ禍で傷ついた飲食店=写真、東京都台東区=など中小事業者は非正規を含めた雇用の大きな担い手だ。だが、このまま傷口が広がれば暮らしは破壊され社会不安が起きかねない。
 衆院選後の新政権には、中小事業者の雇用対策を最優先とし、生活の救済に直結した実効性の高い予算を組むよう強く求めたい。

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