小田急線刺傷事件「乗り合わせたやつらの運が悪かった」 男を殺人未遂などの容疑で再逮捕 鑑定留置へ

2021年9月17日 20時20分

対馬悠介容疑者=8月撮影

 東京都世田谷区の小田急線の電車内で乗客が刺傷された事件で、警視庁成城署捜査本部は17日、殺人未遂などの疑いで、川崎市多摩区の無職対馬悠介容疑者(36)を再逮捕した。調べに「電車に乗り合わせたやつらの運が悪かった」などと供述しており、今後、鑑定留置して刑事責任能力の有無を調べる方針。
 再逮捕容疑では、8月6日午後8時半ごろ、成城学園前―祖師ケ谷大蔵間を走る快速急行の車内で、都内の30代の男性会社員を牛刀で切り付け、右腕に1週間のけがを負わせたとされる。「殺意があったかは覚えていない」と容疑を一部否認している。
 捜査関係者によると、対馬容疑者は5月ごろから生活保護を受けていた。事件当日の昼に新宿区内のコンビニでビールを盗んだなどとして、窃盗容疑などでも再逮捕された。
 事件では牛刀で切られた4人を含む10人が重軽傷を負った。調べに対馬容疑者は「約6年前から幸せそうな女性を見ると殺したくなった」「乗客が逃げ惑う姿を見て満足した」などと供述している。

◆列車内は逃げ場なし 多くが防犯カメラ未設置

 小田急電鉄によると、刺傷事件の後、利用者から事件に関して二百数十件の意見が電話やメールで寄せられ、うち8割が安全対策の強化を求める内容だった。同社は駅員や警備員による巡回を増やして乗客の不安解消に努めている。担当者は「犯罪の抑止力を上げるため、車両への防犯カメラの増設も検討している」と話す。
 寄せられた意見では、警察官や警備員、駅員による巡回や監視の強化、車両内に防犯カメラの設置を求める声が多かった。事件現場となった最新車両「5000形」は防犯カメラを備えているが、同社が保有する車両の9割が未設置という。

東京都新宿区の小田急線新宿駅で行われた無差別襲撃事件を想定した訓練=17日、東京都新宿区の小田急電鉄新宿駅で

 走行中の列車内での事件は相次いでいる。東海道新幹線で2015年、男がガソリンで焼身自殺を図り乗客の女性が巻き添えとなり、18年には男がなたで乗客3人を死傷させた。対馬容疑者も「逃げ場がなく大量に殺せると思った」と供述しており、密室となる車両での乗客の安全確保は、鉄道会社にとって大きな課題となっている。
 鉄道の安全対策に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長は「電車は必ずしも安全な場所ではなくなった。防犯カメラなどは抑止力になるが、凶行自体を防げるわけではない」と指摘。「利用者一人一人が周囲に意識を持ち、列車内の安全を高めていく必要がある」と話した。
 小田急電鉄は17日、新宿駅のホームで警視庁新宿署と合同で電車内での刃物使用を想定した訓練を実施した。参加した同社の社員は、110番や避難誘導の手順を確認していた。(天田優里、山田雄之)

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