<自民党総裁選>目指す社会像や力点を置いた政策は 4氏の訴えを分析

2021年9月18日 06時00分
 自民党総裁選の告示を受け、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が党本部で臨んだ所見発表演説会。各候補が与えられた20分で訴えた政治理念や政策、力点を置いた主張を分析すると、目指す社会像が浮かび上がる。次期衆院選で対峙(たいじ)する野党第1党の立憲民主党との距離感も探った。(川田篤志、市川千晴、曽田晋太郎)

◆河野氏 改革

 河野氏が持ち時間の3分の1以上を割いたのは、ワクチン政策の担当閣僚としての実績だ。7月末までに希望する高齢者の接種をほぼ完了したことや、1日100万回のペース実現を挙げ、困難な目標を達成したと「突破力」をアピールした。
 持ち味とする改革姿勢を前面に「新しい価値を生み出すことを邪魔する仕組みと徹底的に戦ってきた」と強調。明言してきた脱原発に直接は触れなかったが、再生可能エネルギーで国内の全電力を賄うことも「絵空事ではない」と強調するなど独自色も打ち出した。
 立民は原発依存の低減を訴え、共産党などとの共通政策で「原発のない社会の追求」を明記。河野氏はエネルギー政策で野党と重なる部分が多いが、首相に就任した場合は持論を封印する姿勢もにじませている。

◆岸田氏 転換

 岸田氏がアピールしたのは「聞く力」や「チーム力」だ。地元・広島県の商店街で有権者から「政治家にこんなにゆっくり話を聞いてもらったのは初めて」と声をかけられたエピソードを披露。説明責任を軽視し、懸念に耳を貸さず政策を推し進めた安倍、菅両政権を意識し、政治の転換を印象づけようとした。
 コロナ対応では病床や医療人材の確保に加え、人出の抑制を徹底するため数十兆円規模の経済対策を組む必要性に言及。経済政策では「アベノミクス」の恩恵が企業に偏り、賃金まで及んでいないとして、中間層の底上げを図る「令和版所得倍増」を掲げ、新自由主義からの転換を明言した。
 自民党内ではリベラル色の強い派閥を率い、過度な競争よりも分配を重視する姿勢は立民と大きく変わらない。ただ、安倍晋三前首相への配慮からか、森友問題の再調査に否定的な考えを示し、真相究明を求める野党との距離感もある。

◆高市氏 保守

 高市氏は「国民の命と財産、領土を守る」と語るなど、保守層を意識した訴えが大半を占めた。アベノミクスをほぼ踏襲した「サナエノミクス」を打ち出し、防衛予算の増額にも言及。政治姿勢は安倍氏に極めて近く、立民との距離は4人のうち最も遠い。

◆野田氏 多様性

 野田氏は立候補の理由を「自民党の多様性を示さなくてはいけない」と説明。女性や子ども、障害者らの視点を取り入れた政治の実現に意欲を示し、他の3人との差別化を図った。
 多様性の尊重は立民も掲げるキーワードで、選択的夫婦別姓の実現なども一致する。所見では、コロナ対応など衆院選で主要な争点になる政策には詳しく触れなかった。

PR情報

自民党総裁選の新着

記事一覧