<食卓ものがたり>もう1本! 肉のうま味ギュッ Kウインナー(名古屋市)

2021年9月18日 07時15分

肉本来のうま味がくせになる鎌倉ハムのKウインナー=愛知県あま市で

 「まあ一本、まあ一本と、たいがいにしとかないかんよ」。東海地方で生まれ育った人なら、一度は耳にしたことがあるだろう。
 強烈な名古屋弁のCMで知られる「Kウインナー」。オレンジ色のフィルムに包まれた細長い見た目は魚肉ソーセージに似ているが、原料は豚肉のかしら(頭部)とマトン(羊肉)、鶏肉。肉本来のうま味がくせになり、「もう一本、もう一本」と手が伸びる。
 Kウインナーは「鎌倉ハム」(名古屋市中村区)のロングセラー商品だ。同社は社名の通り、一八八七年に神奈川県鎌倉郡川上村(現横浜市戸塚区)で創業。一九二三年の関東大震災で被災したのを機に、翌年、養豚業が盛んな愛知県に工場を移した。
 Kウインナーの誕生は、国民が戦後の食糧難にあえいでいた五〇年。「持ち歩けて、気軽に食べられるものを」と考案された。当時は、羊や豚の腸にひき肉を詰めて作るソーセージが主流。取締役の高橋昌子さん(52)は「フィルム包装のウインナーの先駆けだった」と胸を張る。
 三種類の肉のミンチをまぜて塩などで味を付けたら、フィルムに詰める。八五度の湯で四十分間ゆで、冷蔵庫で一晩寝かせれば完成だ。同県あま市の工場で一日六万本を生産する。「歯応えがあるかしらは食感にアクセントを加え、マトンは肉らしい風味を出す」と高橋さん。手が止まらなくなるのは、配合の妙にあるようだ。
 世界的な食肉需要の拡大で、食肉の価格は高騰が続く。一方で、コロナ禍による飲食店の業績低迷で業務用の高級ハムやソーセージの販売は減っており、同社を取り巻く状況は厳しい。
 しかし、Kウインナーの出荷価格は一本五十四円で据え置いている。取締役の高木知也さん(57)は「大衆的な価格は維持しながら、味を守り続ける」と話す。
 文・写真 熊崎未奈

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 Kウインナーの味は、プレーンと、唐辛子が入ったピリ辛の2種類。そのまま食べてもいいが、フィルムごとボイルしてから、マスタードやケチャップをつけてもおいしい。チャーハンや巻きずし、焼きそばの具材として使うのが、高橋さんのお薦めだ。「冷蔵庫に肉がないときの代用品になる」と呼び掛ける。
 主に東海3県のスーパーやコンビニに出荷。同社のオンラインショップでも購入できる。ほかに「吊(つ)るしベーコン」(2160円)なども販売=写真。(問)鎌倉ハム=電052(442)1121

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