「名前呼びあえる関係になって自分事と考えて」 鎌倉の支援シェルターが日本の難民政策に一石

2021年9月18日 14時00分
 難民申請中の外国人を受け入れる国内最大規模のシェルター「アルペなんみんセンター」が神奈川県鎌倉市にできたことをきっかけに、そこで暮らす外国人と地域の人との交流が進んでいる。シェルターの責任者は「名前で呼び合える関係になると、難民問題を自分ごととして考えるようになる。日本の難民政策のおかしさを鎌倉から発信していきたい」と期待を込める。(石原真樹)

母国語の「こんにちは」をホワイトボードに書くスリランカ人男性(左から3人目)=いずれも神奈川県鎌倉市で

 「スリランカ料理ならカレー。日本料理ならギョーザです」。7月の多世代交流イベントで、好きな食べ物を聞かれたスリランカ人男性は、流ちょうな日本語で答えた。政争に巻き込まれ命の危険を感じ、2016年に来日したが、難民と認められず入管施設への収容を繰り返した。6月にシェルターに来て、「やっとリラックスできた」と話す。

◆難民申請中の人らに衣食住や日本語学ぶ場を提供

 シェルターからイベントに参加したのは3人。ウガンダ人の男性は「ウガンダにたくさんおいしいものがあるけど、一番はバナナ」。世界地図で母国の場所を教えたり、地元の音楽グループの演奏を一緒に楽しんだりして、交流を深めた。
 シェルターは昨年4月にできた。山の中にあるイエズス会の施設を無償で借りている。個室が30ほどあり、現在はアジアやアフリカ出身の10人が生活する。運営するのは、難民支援団体の関係者が設立したNPO法人「アルペなんみんセンター」。仮放免になったが、働けない難民申請中の人らに衣食住や日本語を学ぶ場を提供する。

アルペなんみんセンターが入る建物

 アルペの有川憲治事務局長(59)は「難民問題に国民の関心が高いとはいえない」と残念がる。日本は難民の認定率が極めて低い。3月に名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が亡くなるなど、入管による人権侵害も問題になっている。
 そんな状況を変えるのに必要なのが、名前で呼び合える関係づくりだと有川さんは言う。「なんで『○○さん』が難民認定されないのかと疑問に感じれば、日本の難民政策のおかしさに気づくはず」

◆地域交流少しずつ…全国に向け発信

 自分の子とシェルターで暮らす子が同じ幼稚園に通ったり、日本語を教えたお礼に母国の料理を振る舞ってもらったり。何度も顔を合わせれば、地元の人は難民問題を身近に感じられるようになる。難民申請中の人は認定後に日本で暮らすための足場をつくれる。
 コロナ禍でも、地元の子らが訪ねてきて敷地内の畑で一緒に汗を流すことも。地元の団体が食料を寄付するなど、交流は少しずつ根付き始めている。
 市議会は7月、難民認定や施設収容のあり方など難民政策の見直しを国に求める意見書を可決した。有川さんは、鎌倉で育てたコミュニティーが全国に広がるように願っている。

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