「説明しない政治」を改める姿勢は見えず 病床逼迫などの課題解決策も乏しく…自民党総裁選の公開討論会

2021年9月19日 06時00分
 18日に行われた日本記者クラブ主催の自民党総裁選の公開討論会では、新型コロナウイルス対応が中心テーマになった。菅義偉首相が退場する背景には、説明責任の軽視や楽観的な見通しに基づく医療提供体制整備の遅れがあるが、問題解決に向けた「本気度」は見えにくかった。(井上峻輔、川田篤志)

◆「丁寧な説明」の欠如

 菅政権のコロナ対応の問題点について、河野太郎行政改革担当相と岸田文雄前政調会長は「丁寧な説明」の欠如だと口をそろえた。
 岸田氏は「国民に協力をいただくには納得感が必須。(対策の)必要性や決定プロセスを丁寧に説明する部分に課題があった」と指摘。閣僚としてワクチン政策を担う河野氏も「情報を基に丁寧に説明するところが欠けていた」と認めた。高市早苗前総務相と野田聖子幹事長代行も国民との対話を重視すると強調した。
 だが、森友学園を巡る公文書改ざんや「桜を見る会」の問題に関する発言は、第2次安倍政権以降の「説明しない政治」を改める姿勢に疑義を生じさせた。
 森友や桜に対する世論の批判は根強く、立憲民主など野党4党は衆院選に向けた共通政策で「権力私物化の疑惑」として真相究明を要求している。
 森友に関して岸田氏は再調査に否定的で「政治の立場からしっかり説明していくことは大事」と言葉を濁した。河野氏も、政府の内部調査や捜査当局の判断とは異なる政治責任を問われ「心を痛めている方にお目にかかって話を聞いたり、いろんなことが考えられる」と煮え切らない説明に終始した。
 4氏のうち、野田氏だけは「必要なら自民党の中で(調査を)やっていかないといけない」と明言したが、党幹部の要職にありながら、調査を主張してこなかったことには言及しなかった。高市氏は、安倍晋三前首相が事実と異なる国会答弁を繰り返した桜の問題に関し「長い国会審議の中で説明している。本人が虚偽と思っていたわけではない」と擁護した。

◆目立つ中長期的な対応

 菅政権への批判が集中したコロナ対策も中長期的な対応が目立ち、病床逼迫(ひっぱく)など足元の課題の解決につながる具体策は乏しかった。
 高市氏は、国や自治体が医療機関に対して病床や人材を確保するよう命令権限を持たせる法整備に意欲を示したが、法案提出は来年の通常国会だと説明。河野氏も、臨時の医療施設開設が円滑に進むよう、国と都道府県の指揮命令系統や権限の見直しの必要性を訴えたが、時期のめどは明らかにしなかった。
 感染症対応の中核病院を指定して診療報酬の上乗せなどの優遇措置を設け、緊急時は国の命令で半強制的にコロナ病床を確保させる岸田氏の案、コロナ患者を受け入れる臨時のサブホスピタル(補助的な医療施設)を設ける野田氏の対策も、実現までには時間を要するとみられる。
 4氏は安倍、菅両政権で党幹部や閣僚を歴任。これまでのコロナ対策にも「政治家として責任がある」と問われたが、河野氏が「重症化して回復した人の病床を移すことが、うまくいかなかった反省はある」などと答えただけだった。

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