<ヒューマンいばらき>「狩りボーイ」目指す 石岡市地域おこし協力隊員・荘野徹郎(しょうの・てつろう)さん(40)

2021年9月19日 07時40分

畑の草刈りに汗を流す荘野徹郎さん=石岡市で

 「ハンターの後継者としてやっていきたい」と表情を引き締める。八月、石岡市が「獣害対策」の活動分野で募集した地域おこし協力隊員に採用され、市の初代「狩りボーイ」を目指している。
 牛久市出身。県立竜ケ崎一高を卒業後、陸上自衛隊に入隊し、勝田駐屯地(ひたちなか市)に十五年間勤務した。施設科隊員を育成する施設学校で教育を支援し、災害派遣では被災地の救援活動に当たった。
 退職後、建築設備会社に入社し、埼玉県八潮市に移り住んだ。高校の同級生がいる石岡市に毎週のように通ううち、市内の八郷地区に広がる豊かな里山環境に魅了された。
 市農政課によると、二〇二〇年度、野生鳥獣による農作物被害額は千五百七十万円に達した。中でもイノシシ被害が顕著だ。「県イノシシ等野生鳥獣による被害の防止対策に関する条例」が二〇一八年に制定され、イノシシの捕獲や防護対策は進んでいる。半面、二〇年度に市内で駆除したイノシシ千四十頭のうち、食用として出荷できたのはわずか十五頭。イノシシ肉の普及が課題となっている。
 現在は、地元猟友会のメンバーでつくる「市鳥獣被害対策実施隊」に同行し、わなの仕掛け方を覚えたり、猟をする場所を確かめたりして修業を続けている。狩猟免許を取得後、十一月十五日に始まる猟期には自ら狩猟に挑むつもりだ。
 市内には、県内で唯一のイノシシ肉処理加工施設「朝日里山学校」が稼働しているが、ジビエ料理を取り巻く環境は厳しい。
 放射性物質が広範囲に拡散した二〇一一年三月の東京電力福島原発事故以来、同学校では国の出荷・検査指針に基づき、全頭検査を行っている。最近は、豚やイノシシに感染する家畜伝染病「豚熱(CSF)」の発生が相次ぐ。
 当面は、定番のしし鍋の特産化を応援するが、夢は新メニューの開発だ。「斬新なネーミングで売り出したい。試食会を開いた時には、たくさんの人に来てほしい」
 「令和の百姓スタイル」を理想に掲げる。今夏、農家から借りた畑でヒマワリを育てた。種を絞って食用油を作る予定だ。
 任期は来年三月までだが、最長で二〇二四年三月末まで延長できる。「二年半の活動期間で、環境保全につながる事業をつくり出し、地域に残したい」と力を込める。(林容史)
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 市八郷商工会が発行する「八郷名物しし鍋マップ」には市内外の九店舗を掲載。いずれも事前予約が必要。最新号のマップは商工会のホームページに掲載し、各店舗で配布する。

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