全客室にレコードプレーヤー 「音楽の街」下北沢の線路跡にホテル開業

2021年9月19日 21時11分

シンプルなデザインの「マスタードホテルシモキタザワ」の外観=東京・下北沢で

 昭和の時代から劇場やライブハウスが集まる下北沢(東京都世田谷区)に、アナログレコードプレーヤーを全客室に備えたユニークなホテルが誕生した。日帰り利用も可能。コロナ禍で人の流れが減ったカルチャー発信地で、新たな癒やしの時間を提案する。(山下葉月)

下北線路街 2013年に地下化された小田急線東北沢―世田谷代田駅間約1・7キロの線路跡地で小田急が進めている再開発プロジェクト。ショップやカフェ、賃貸住宅、温泉旅館などがあり、来年1月までに全13施設が開業する。

 地下化された小田急線の線路跡地で整備中の「下北線路街」に16日オープンした「マスタード ホテル シモキタザワ」。2階建て、60室で、木を使った落ち着いたデザインが特徴だ。受付には300枚のレコードを常備し、利用者は枚数限定で無料で借りられる。宿泊しなくても、30分あたり500円で時間利用することもできる。
 ビル・エバンスらのジャズ作品からソウル、ヒップホップ、ボサノバまでジャンルは多彩だ。下北沢の有名ショップ「Jazzy Sport(ジャジー スポート)」の佐々木岳洋さん(46)が選盤した。「ホテルでの滞在が楽しくなるようにいろいろなジャンルから選びました。いつもは聴かない音楽とレコードで出合ってみては」

レコードプレーヤーがある客室

 下北沢には10軒以上のレコード店が集まる。マニアックな品ぞろえで海外のファンにも知られ、コロナ禍の前はインバウンド(訪日観光客)でにぎわった。佐々木さんの店にも1980年代に流行した山下達郎さんや竹内まりやさんなど、海外で再評価が進む日本のシティーポップを探す外国人客が詰めかけていた。
 こうした現象に目を付けたのが、ホテル開発などを手掛ける「グリーニング」(渋谷区)だ。ホテル事業責任者の今井邦裕さん(54)によると、宿泊施設が少ない下北沢でインバウンド需要の開拓を狙い「レコードが聴けるホテル」を考えたという。コロナ禍で遠方からの観光客が呼び込めなくなり、時間貸しのアイデアも編みだした。「近所の人やテレワーカーにも使ってほしい」
 街には、コロナ禍で生まれた「おうち時間」を楽しもうとレコード店を巡る若者が増えている。今井さんは「下北沢で購入したばかりのレコードを持ち込み、くつろぐ人たちが出てきたらいいと思う。音楽の街を盛り上げていきたい」と話した。宿泊料金など詳細はホテル名で検索。

受付には名盤がずらり。「音楽の街を盛り上げたい」と話す今井邦裕さん=東京・下北沢で

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