香港、民主派排除で初の選挙 候補者の3分の1が「愛国者による香港統治」掲げる

2021年9月19日 22時41分
日、香港中心部ワンチャイ(湾仔)で、選挙委員会の委員選挙候補者の陣営関係者らが配るビラの受け取りを拒む市民=共同

日、香港中心部ワンチャイ(湾仔)で、選挙委員会の委員選挙候補者の陣営関係者らが配るビラの受け取りを拒む市民=共同

 【北京=白山泉】香港行政長官などを選ぶ「選挙委員会」(定数1500)の委員を決める選挙が19日行われた。中国の習近平しゅうきんぺい指導部が主導して民主派を排除する仕組みで行われた初の選挙で、定数の大半は無投票で決まり、登録有権者数も前回から大幅に減少した。国家安全維持法(国安法)によって言論統制が進む中、香港市民が投票によって反対意見を示す機会も消滅しつつある。
 「『愛国者による香港統治』に向けた第一歩となる重要な選挙」。林鄭月娥りんていげつが行政長官は19日、現地メディアの取材に選挙の重要性を強調した。しかし、多くの民主派候補者が「自由」や「真の普通選挙」を掲げた2016年の前回選のような盛り上がりはない。
 計1500人で構成する選挙委員会だが、今回選挙を行ったのは全36業界のうち、金融や法律、医療関係など13業界の364人だけ。行政長官のほか、90議席の立法会(議会)議員のうちの40議席を選ぶ権限を持つ重要な役職だが、大半が無投票で決まった。立候補者は412人だったが、香港メディアは「自身の『安全』のために3分の1が政策に『愛国者による香港統治』を掲げた」と、候補者が中国政府におもねり、選挙の質が低下したと指摘する。
 前回選では登録有権者も24万人超だったが、今回は約8000人と激減。香港紙によると、無投票の業界が多いことに加え、民主派を支えた個人票の有権者登録が大幅に減り、統制しやすい団体票の割合を増やす制度変更が影響したという。
 香港政府を批判する抗議行動が拡大した19年、区議会議員選挙で民主派が圧勝。これに危機感を抱いた中国は国安法を導入し民主派の声を封じてきた。今年3月、「愛国者」以外は立候補できないよう選挙制度を見直す方針を決定し、立法会がこれに従って制度を変更した。
 新たな制度に基づいた選挙は今回に続き、12月の立法会選、来年3月の行政長官選が予定されている。18日には中国の韓正かんせい副首相が深圳で林鄭月娥長官と会見し、この3つを「重大選挙」として円滑に実施するよう求めた。

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