<社説>児童虐待20万超 「見守る目」を幾重にも

2021年9月21日 07時40分
 全国の児童相談所が二〇二〇年度に対応した児童虐待件数が二十万五千二十九件と、初めて二十万件を超えた=グラフ。コロナ禍で子どもたちの危機が見えにくくなっていないか。地域の見守る目を増やし、虐待防止につなげたい。
 前年度からの増加幅は5・8%で、一八年度の19・5%、一九年度の21・2%を下回った。
 厚生労働省はコロナ禍との関連は見られないと分析するが、警察からの通告が増え半数を超えた。
 コロナ禍で保護者の失業や休業が相次ぎ、自宅で過ごす子どもたちが増えた。保育所や幼稚園、学校、医療機関、福祉事務所などが子どもたちと接する機会が減ったことが、警察からの通告につながっているのではないか。
 認可保育所に入れない待機児童数は今年四月時点で五千六百三十四人と、前年の一万二千四百三十九人から大きく減った。保育所整備など対策が進んだことと別に、就労が困難になり利用を断念した保護者もいるだろう。
 虐待のタイプ別では、言葉による脅しや無視、きょうだい間での差別的な扱い、子どもの目の前で家族に暴力を振るうドメスティックバイオレンス(DV)など「心理的虐待」が約六割を占めた。
 親子が一緒に家で過ごす時間が長くなることがお互いのストレスにつながり、虐待を生むリスクが高まっているととらえるべきだ。
 コロナ禍でなければ気づくはずの子育て家庭のSOSが周囲に届きにくくなっている。より目を凝らし、耳をそばだてて、虐待の兆候を見逃さないようにしたい。
 児童福祉司の増員など児童相談所や自治体の体制強化、警察との連携を進める必要がある。医療機関と虐待を疑われるケースの情報を共有することも大切だ。
 各地に広がる子ども食堂なども地域とつながる場となっている。民間団体が運営を続けられるよう自治体は支援すべきだ。子育て家庭を孤立させないために何ができるか。地域で知恵を絞りたい。 

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