中国政府は不動産バブルを軟着陸できるのか 恒大集団の経営危機、世界同時株安に

2021年9月22日 06時00分
中国・広東省深圳市で13日、金融商品の返還を求めて中国恒大集団本社ビルに殺到する投資家ら=ロイター・共同

中国・広東省深圳市で13日、金融商品の返還を求めて中国恒大集団本社ビルに殺到する投資家ら=ロイター・共同

 世界同時株安のきっかけをつくった中国恒大集団の経営危機は、2008年のリーマン・ショック再来の予兆なのか―。強気の投資で業界第2位に急成長したものの、不動産の高騰を懸念した中国当局がブレーキをかけると資金不足に陥った。中国政府がこの不動産バブルを軟着陸させられなければ、その影響は計り知れない。(北京・白山泉)

◆個人投資家が抗議活動

 1996年創業の恒大集団は、拡大を続ける中国経済を背景に株式や不動産を担保に資金を借り入れ、土地取得や企業買収などを積極的に推進。旅行や健康・介護産業など事業も多角化し、中国のプロサッカーチームも所有する。
 しかし今年7月には、建設部門で支払いが滞り訴訟となり、8月末には負債総額が過去最高の約2兆元(約33兆円)に達したと公表。今月半ばには一部の資産運用商品の償還を停止したことがきっかけとなり、多くの個人投資家が広東省深圳市の恒大本社に集まって抗議活動を行うなど、投資家の間でデフォルト(債務不履行)の懸念が高まっている。
 ロイター通信によると、恒大集団は21日、「最悪の状態から抜け出せるだろう」とのメッセージを従業員に送って沈静化を図った。しかし、月内にはさらに約1億3000万ドル(約140億円)の社債の利払いを控える。所有する物件を値下げ販売して現金を調達しているものの売れ行きは低調。保有する金融資産の価値も暴落しており、自立再建は極めて難しい状況だ。

◆庶民の怒りで方針転換

 経営の潮目が変わったのは16年。中国政府は不動産頼みの景気刺激策を続けていたが、住宅価格が高騰して庶民の怒りが高まったため方針を転換。「住宅は投機するためのものではない」と不動産売買への規制を強めたほか、20年8月には開発業者に対する資金調達の規制強化など「三条紅線(3つのレッドライン)」と呼ばれる政策が導入され、恒大の行きすぎた債務拡張が顕在化した。
 恒大は、これに先駆けて水や電気自動車の販売事業に参入し、資金調達を目指していたがいずれも不発。中国の金融関係者の間では、高リスク投資を行う企業への見せしめとして政府が救済する可能性は低いとの見方がある。このため「市場原理で清算し、万が一の際に政府が介入する」(エコノミスト)とみられる。
 ただ、日本のバブル崩壊やリーマン・ショックでも想定を超える事態が金融危機を深刻化させた。世界第2位の中国経済が失速すれば、製造業はじめ日本経済への影響も避けられないだけに先行きは楽観できない。

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