人権派弁護士弾圧の中国に「屈しない」 国家政権転覆罪で服役していた王全璋氏に聞く

2021年9月22日 11時00分

今月上旬、北京市内の自宅で話す王全璋氏

 2015年7月に人権派弁護士らが一斉拘束された事件で、国家政権転覆罪で昨年4月まで服役していた王全璋氏(45)が、判決取り消しを求める訴えを起こしている。中国でも判決が覆る例は多くないが、「もし冤罪を着せられたら、万策尽きるまで公正と正義を求めるべきだ」と話す。(北京・中沢穣、写真も)
 ―訴えの内容は。
 被告の基本的権利を侵害して下された判決は、絶対に取り消されるべきだ。今回は私の弁護権にしぼって訴えた。裁判所は私に弁護士がいない状況下で審理を進め、私を抑えつけて開廷した。しかし判決には私の弁護権が十分に保障されたとある。あまりにもでたらめであり、法廷での録画を見れば明らかだ。
 ―国家政権転覆罪に問われた内容は争わないのか。
 私の行為が、同罪にあたるか否かの解釈権は裁判所にある。罪にあたると裁判所が解釈すれば、どうしようもない。しかし法の定める手続きは裁判所が勝手に解釈できない。私の弁護権の問題に、裁判所がどう答えるのかを見てみたい。
 ―勝算は。
 考えたことがない。これは私がやらなければならない事だ。たった一つの案件によって、(中国の司法に)進歩をもたらそうとは考えていない。しかし、もし冤罪を着せられたら、万策尽きるまで公正と正義を求めるべきだ。そうすれば(司法当局の)悪をなす者に多少なりとも圧力をかけられる。他の案件を扱うときに考慮せざるを得なくなる。
 ―中国は「法治国家」だと主張している。
 多くの国でも武力による国家政権転覆は認めていないが、中国の法律は何が同罪にあたるのか規定がない。当局が自由に解釈できる。これは恐ろしいことだ。中国の法律は、あいまいな仕組みによって人々の権利を制限し、全ての人々を(いつ罪に問われるか分からないという)不安定な状態に置いている。これは法治の原則に反している。
 ―弁護士ら一斉拘束事件以降、中国は変わったか。
 変化は大きい。かつてはネットを通じて真相を広めることにより、ある程度は正義を実現できるという感覚があった。しかし(服役を終え)五年ぶりに社会に戻ると、ネット上で影響力のあった人は消え、多くの弁護士が資格を剝奪された。公権力の民間社会への圧力はますます厳しい。
 ―人権派弁護士も減った。
 まだ屈しない人々がいる。法輪功、キリスト教徒、土地を失った農民など被害者は絶えず現れ、彼らを助ける人々も頑張っている。その力は十分ではないかもしれないが、なおも声は消えていない。

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