コロナ対策の名も借りて…中国でカトリック系施設の閉鎖相次ぐ バチカンと和解3年も信仰の自由後退

2021年9月23日 06時00分
 中国で、キリスト教カトリックの教徒らが運営する障害者施設が次々と閉鎖に追い込まれている。中国当局は、宗教関連の法律を整えて宗教への統制強化を図っており、施設の閉鎖はその一環とみられる。中国共産党政権とカトリックの総本山ローマ教皇庁(バチカン)との歴史的和解から22日で3年となったが、教徒らの期待とは正反対に信教の自由は急速に後退している。(中国河北省任丘市で、中沢穣、写真も)

9月上旬、中国河北省任丘市で、門が固く閉ざされた「聖ヨセフ障害児の家」

 バチカンと中国の暫定合意 中国は1951年にバチカンと断交状態になり、中国のカトリック教会は政府公認の教会と非公認の地下教会に分裂した。2018年9月の暫定合意は詳細が明らかにされていないが、司教は中国側が選んだ候補の中から教皇が任命するかたちで折り合ったとみられる。昨年9月に暫定合意は延長された。

◆移転させられた入所者

 北京から車で2時間半の河北省任丘市にある「聖ヨセフ障害児の家」。人の気配はなく、閉ざされた門のすき間から英語の看板がみえる。ネット上の写真に写る中国語の看板は、すでに外されたようだ。かすんだ窓ガラスから建物内をみると、子ども向けとみられる小さなベッドやキリストの肖像画、十字架などがある。
 施設関係者によると、施設閉鎖は3月下旬。70人以上の入所者のうち、未成年の十数人は政府系の施設に収容され、ほかは近くの高齢者施設に移された。閉鎖理由について「政府が(運営継続を)許さない」とだけ話した。
 施設は1993年に周辺に住むカトリック教徒数人が設立し、教徒らの寄付などによって運営してきた。入所者は脳性まひなどの障害があり、両親に遺棄された子どもがほとんど。北京のキリスト教関係者は「閉鎖は入所者のためではなく、社会から宗教の影響を排除することが目的だろう。移転先での元入所者の待遇が心配だ」と訴える。

◆法整備は着々と

 カトリック系メディアによると、同様の施設の閉鎖は後を絶たない。2019年以降、同省石家荘市や張家口市、陝西省宝鶏市などの施設が閉じた。「慈善活動を利用した布教」を禁じる規定を設けた「宗教事務条例」が18年2月に施行されたためとみられる。
 同年9月にバチカンと中国が司教任命問題で暫定合意に達した後も、カトリックなど宗教への統制を強める法整備が着々と進む。
 今年5月には「宗教教職人員管理法」が施行された。宗教関係者は「中国共産党の指導と社会主義制度の擁護」や、当局が管理する宗教団体を通じて「資格証」の取得が義務づけられた。資格証なしでの宗教活動は違法とされるため、当局の管理を逃れてきた地下教会などはさらに困難な状況に追い込まれた。カトリック系メディアによると、5月には河南省新郷市の司教ら17人が当局に拘束される事件があり、同法が適用されたとみられる。

◆表向きはコロナ対策

 新型コロナウイルス対策を名目とした締め付けも続く。任丘市の障害児施設の東約1キロにある教会は1年以上も閉鎖状態。教徒の女性によると、付近には約300人の教徒がおり、教会は二十数年前に教徒らが建てた。女性は「神父もいなくなった。礼拝は自宅でするしかない」と話した。

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