みずほ銀行のシステム更新、国が監視「障害の発火点になりうる」 トラブル相次ぎ異例の体制

2021年9月23日 06時00分

みずほ銀行の看板

 金融庁は22日、相次ぐシステム障害を起こしたみずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループに対して、銀行法に基づく業務改善命令を出した。今年だけで7回も障害が起きたのを問題視し、システム更新や保守などの計画に対して監督を強化。国が前面に出て監視する異例の体制を敷き、障害の再発防止を最優先する。

◆システム更新の計画再検証を命令

 金融庁は現在、システム障害の原因を調べる立ち入り検査を行っており、その最中に前倒しの形で行政処分を出すのも異例の措置だ。検査終了後にあらためて、みずほに行政処分を下す可能性もある。
 システム障害を巡りみずほが業務改善命令を受けるのは、2002、11年に続き3度目となる。過去2度の処分で金融庁は発生した障害の原因究明に重きを置いたが、今回はそれ以外に将来のシステム更新などの計画について再検証や見直しをみずほに命令した。
 みずほによる再検証の結果次第では、金融庁から銀行側に計画の改善を指摘することもあるという。金融庁幹部は「通常より一段と進んだ行政対応だ」と説明。再検証の報告期限は来月29日で、年内は監督を強化する方針だ。

◆ATMの8割停止、通帳取り込まれも

 今回の処分対象となった障害は、稼働中の現金自動預払機(ATM)の約8割が停止したほか、キャッシュカードや通帳がATMに取り込まれるなど、2、3月には4件発生。6月には再発防止策を発表したが、その後も3件のトラブルが起き、改善されなかった。
 今回の処分を受けみずほは記者会見を行わず、「命令を重く受け止めている。安全・着実なシステム更新などに万全を期すべく、全役職員が一丸となって取り組む」などのコメントを発表した。(桐山純平)
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◆金融庁、関与強化で責任より重く

 業務改善命令を受け、みずほ銀行は当面、自身の経営判断に基づくシステム更新ができなくなった。金融庁が異例の命令を出した背景には、システム障害の原因が現在も把握できておらず、障害の再発に危機感を抱いている事情がある。関与を強めることで、もし今後顧客に影響する障害が起きれば、監督官庁としてより重い責任を問われることになる。
 「みずほ銀行では、システム更新が障害の発火点になりうる」。金融庁幹部は22日、検査が継続中にもかかわらず命令を前倒しした理由をそう説明した。

◆みずほ、自らのシステム掌握できず

 過去の障害の一部は、データの移行やプログラムの更新が引き金となった。発生後に点検したはずの機器でトラブルが生じるなど、みずほは自らのシステムを掌握できていない。

6月15日、システム障害にかかる原因究明・再発防止についての記者会見冒頭、頭を下げる(左から)みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長、みずほ銀行の藤原弘治頭取

 発足前の旧3行にシステムを提供していた富士通、日本IBM、日立製作所をはじめ多数の企業が開発に関わった。保守の担当者が減ったことで取り扱いが難しくなっており、全体を見渡すのは至難の業だ。
 金融庁は専門のチームは設けず、検査班やITの専門職員を投入するほか、日銀とも連携する構え。デジタル庁は「立ち上がったばかりで具体的な取り組みが不明」(幹部)のため当面協力は求めない。
 みずほにシステムを扱う当事者能力が欠けていると断じた格好の金融庁だが、司令塔の役割を果たせるかは不透明だ。まだ別途継続する検査で、みずほのシステムの全容把握を急いでいる最中だからだ。
 少なくとも年内は、みずほがシステムの更新作業をする場合に金融庁の「お墨付き」を得ていることになる。更新に起因する障害が再発すれば、同庁の監督能力への信頼が損なわれるのは必至だ。(皆川剛)

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