スリランカ人強制送還巡る違憲判決 弁護団「歴史的な意義」 続いてきた難民申請者への「残酷な取り扱い」

2021年9月23日 06時00分
難民申請をしていたスリランカ人を巡る控訴審判決について会見する弁護団=東京・霞が関の司法記者クラブで

難民申請をしていたスリランカ人を巡る控訴審判決について会見する弁護団=東京・霞が関の司法記者クラブで

 「6年間、とても苦しかった。スリランカは(コロナ禍で)ロックダウンもあり大変ですが頑張ります」。難民申請をしていたスリランカ人男性の強制送還を巡る国の対応について、憲法で保障する「裁判を受ける権利」を奪ったと認定した22日の東京高裁判決。2人の原告のうち50歳のスリランカ人男性は、本国から国際電話で弁護団に喜びを伝えた。弁護団は「入管行政で歴史的な意義をもつ画期的な判決。この流れを大切に他の事件でも踏み込んで判断してほしい」と訴えた。

◆「チャンス」は30分だけ

 1審判決や弁護団によると、2人は14年12月17日に仮放免の延長手続きで東京出入国在留管理局を訪れた。しかし難民不認定処分に対する異議申し立ての棄却などを伝えられ「不服なら半年以内に取り消し訴訟できるが、明日、強制送還する」と告げられた。
 「国に帰ると殺される」「命が危ない」と何度も訴え「裁判やりたい。弁護士を呼んで」と訴えると、職員から約30分の猶予を与えられ、弁護士にのみ電話をかけていいと許可された。しかし、5度かけた電話はつながらなかった。
 「帰れば殺される」と繰り返す男性に職員は「私はあなたにチャンスをあげたけど、弁護士先生、連絡つかなかったでしょ」と言い放った。収容翌日に他のスリランカ人ら31人とチャーター機で強制送還されたという。
 この日電話した男性は、現在も本国で政治迫害を受ける可能性があり、住む場所を転々と変えて生活を送っている。

◆「ひきょうなやり方もうやめるべき」

 弁護団によると、14年以降も男性同様に時間を置かず、強制送還する事例は続いているという。駒井知会弁護士は「極めて低い難民認定率の中で、入管収容や仮放免など難民申請者への残酷な取り扱いに問題がある」とした上で「6カ月は裁判所で争うことができるのにこれを無視し、幾度も憲法違反を繰り返してきた。今後は、このようなやり方は一切取れなくなる」と指摘した。
 一方、弁護団の児玉晃一弁護士は「出入国管理及び難民認定法の改正法案が5月に見送りとなったが、現在の法律でさえ、入管が手続きを守れていないのが明らかになった。今後の新たな法改正にも強い影響を与える」と今後に期待した。また高橋済弁護士は「入管庁は上告せず、判決を真摯しんしに受け止め、これ以上、ひきょうなやり方をやめるべきだ。それが難民保護を担う行政の責任だ」と話した。(望月衣塑子)

PR情報

社会の新着

記事一覧