<プロに聞く くらしとお金の相談室>マンション修繕費が不安

2021年9月23日 07時42分
<Q> 分譲マンションに住んでおり、管理組合の役員をすることになりました。今後、建物が老朽化していくと修繕や改修工事が必要になると思いますが、費用を準備できるかどうか不安です。もしお金に困ったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。

◆住民高齢化見据え準備

※いずれも二〇一八年度国土交通省マンション総合調査を基に作成。小数点以下は四捨五入

<A> マンションは老朽化とともに、建物の劣化に加え、所有者の住民も高齢化するという二つの老いの問題を抱えます。修繕計画を基に、早いうちから資金の準備を始める必要があります。
 共用部分の修繕項目は、給水管や排水管、埋設ガス管の更新のほか、水道水をためる受水槽の交換、屋根防水の補修、エレベーターのリニューアル、機械式駐車場の交換、インターホンや自動ドアの修理、アンテナ線の更新など多岐にわたります。特に、機械式駐車場の交換は数千万円の費用がかかることも。築年数がたつほど修繕箇所が増えるほか、漏水や機械の故障などで突発的な費用が発生することも考えられますし、将来的に工事費が高騰する恐れもあります。
 共用部分の維持管理に欠かせないのが、所有者が毎月払う管理費と修繕積立金です。工事費の確保が難しそうなら、まずは積立金を値上げしたり、一時金を集めたりする方法があります。
 ただ、住民が高齢化して年金暮らしの世帯などが増えると、値上げへの対応が難しく、滞納の問題が出てくることも。居住スペースである専有部分も老朽化し、給排水管やトイレ、洗面台などの更新時期を迎えるため、各戸の所有者もお金に余裕がないことが多い。後になって急に値上げするのではなく、計画的に早めに決断することが肝心です。
 金融機関から資金を借り入れることもできます。ただ、積立金が少なかったり、滞納者がいたりすると借入時の審査でマイナス要素に。結果的に希望通りの借り入れができないこともあるので注意しましょう。
 そのほかにも、使えるお金を増やす方法はあります。例えば、眠っているマンション施設の有効活用。駐車場の空き区画を住民以外に貸したり、自転車置き場や洗車スペースにしたりして利用料を取る。敷地内の空きスペースを貸倉庫や家庭菜園にする。集会室をそろばん教室や書道教室に貸している例もあります。
 資源ごみを回収する団体に奨励金を出す自治体もあり、うまく活用すれば雑収入を稼げる。自動販売機を設置すれば売り上げの一部を得られ、住民の利便性も高められます。
 無駄な支出を抑えるのも大事。高台に立つマンションに水災保険が付いているなど、不要な保険料を支払っていることがあります。あとは、管理会社への委託料が適正かどうかを見直すこと。委託先を変えるだけで年間100万円以上が浮いた例もあります。工事の発注も複数の業者の見積額を比較して検討しましょう。
 いずれにしても、長期的な修繕計画をきちんと作り、どのくらいのお金が必要なのかを見える化して、住民の合意をつくっていくことが大切。困り事があれば、マンション管理士などの専門家に相談したり、公益財団法人マンション管理センターや行政などの相談窓口を利用したりするといいでしょう。 
<ほんど・こういち> 1969年生まれ。不動産仲介会社を経て、2010年にアソルティマンション管理士事務所(名古屋市中区)を開業。NPO法人マンション管理者管理方式推進機構の理事も務める。

<詳しく!>積立金不足35% 空き部屋問題も

 国土交通省の2018年度マンション総合調査によると、修繕積立金の現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションは全体の35%だった。全体の11%は、不足の割合が5割超となっている。
 修繕積立金の不足を深刻化させるのが滞納や空き部屋の問題だ。いずれも築年数が古いほど増える傾向で、1979年以前に完成したマンションでは、空き部屋があるのは約7割を占め、管理費や修繕積立金の滞納があるのも4割近くに達した。
 同省によると、築40年超の分譲マンション戸数は20年末で約103万戸で、20年後には4倍の約405万戸となる見込み。居住者の高齢化も進んでいる。 (河郷丈史)

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