<社説>恒大経営危機 国際連携で事態収拾を

2021年9月23日 07時59分
 中国の不動産大手、中国恒大集団=写真、ロイター・共同=の経営危機が世界経済に動揺を与えている。天文学的な額の負債を抱えており、破綻すれば景気悪化の国際的連鎖を引き起こしかねない。中国は主要国と連携を取り危機回避に全力を傾けるべきだ。
 一九九六年創業の恒大は借入資金で宅地を開発し、安価な住宅やマンションを大量に売りさばく手法で収益を上げ中国第二の不動産会社に成長。現在ではプロサッカーチームの運営や電気自動車(EV)の生産も手掛ける巨大企業グループに発展した。
 しかし供給過熱による不動産市況の悪化や中国政府の土地取引規制策で収益が急激に悪化。負債総額は中国国内総生産(GDP)の2%に当たる三十三兆円に達し、デフォルト(債務不履行)懸念が高まっている。
 当面の債務の利払い期限はきょう二十三日から年末まで続く。負債の中には銀行借り入れのほか社債も含まれる。建設業者など取引先への支払いも滞っており自立再建の道は険しい。
 恒大が破綻すれば影響は甚大だ。不動産価格や株価の暴落は金融機関を含む多くの中国企業を直撃する。同時に巨大市場を持つ中国経済の失速は、進出している日本など各国企業の経営者心理を確実に冷え込ませる。それは雇用や賃金の抑制といった負の連鎖を引き起こす恐れさえある。
 不可解なのは中国政府の姿勢だ。依然、明確な対応策を示していない。富裕層への怨嗟(えんさ)が高まる中、簡単に救済できない国内事情があるのは理解できる。だが不安の連鎖は金融市場全体に波及している。中国政府と恒大は直ちに経営状況を開示した上で負債処理に向けた道筋を明示してほしい。
 さらに日米欧の主要国も中国に対し積極的に支援を呼びかけ、共に危機を乗り越える姿勢を鮮明にする必要がある。政治的対立があろうとも経済の根は国境を越えて張り巡らされており、単独での危機対応は不可能だ。動揺する金融市場の安定化に向け中国と日米欧は早急に情報を共有し、対話による事態収拾に乗り出すべきだ。

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