歌舞伎座・十月大歌舞伎 松緑、すり役 狙うは微笑 代々好演「太刀盗人」「『ふふふ』がベスト」

2021年9月24日 07時07分

「太刀盗人」に出演する尾上松緑=東京都内で

 東京・歌舞伎座の「十月大歌舞伎」第二部は、尾上松緑(しょうろく)(46)が出演するコミカルな舞踊劇「太刀盗人(たちぬすびと)」。祖父(二代目尾上松緑)も父(初代尾上辰之助)も大事にしてきた演目で、松緑は「(観客が観劇後)笑って歌舞伎座を出ていただけるよう務めたい」と意気込む。 (山岸利行)
 演じるのは、すっぱ(すり)の九郎兵衛。市場で故郷への土産を買おうとしていた田舎者の万兵衛が腰に携えた黄金造りの太刀を盗み取り、騒ぎになる。
 目代(代官)が二人に事情を聴くが、九郎兵衛は万兵衛の言うことを盗み聞いて同じことを答えるため、らちが明かない。盗み聞きされていると思った万兵衛は小声で目代に答えて…。狂言「長光(ながみつ)」を基にした、おかしみあふれる演目だ。
 松緑は昨年十月、国立劇場で同じ役を演じた。今年に入ってからも、「泥棒と若殿」「あんまと泥棒」などで泥棒役が続いている。「『泥棒役者』と言われることにはムッとする」と苦笑いの一方、「僕が演じるのは盗むのが下手な泥棒ばかりなので、かっこいい泥棒役だとうれしい」と笑わせる。
 今回の演目は「どうやって田舎者から太刀を盗もうかという導入部が大事」だとする。その後、九郎兵衛と万兵衛の掛け合いに移るが、「息が合いすぎると、予定調和になりすぎる。大爆笑をかっさらうのがいいわけではない。お客さんが『ふふふ』(と笑うくらい)がベスト」と、あんばいが難しそうだ。
 相手役の万兵衛を演じるのは中村鷹之資(たかのすけ)(22)。尊敬する五代目中村富十郎の長男で、松緑は「日本舞踊を踊るのに適した体形で、(富十郎の)遺伝子を感じる。踊りも熱心に稽古中で、頼りになるパートナー」と評価する。
 また、自身の長男左近(15)が目代(坂東彦三郎)の従者藤内役で出演予定。親子共演には「親として何もできないが、彼の曽祖父、祖父を目指して頑張ってほしい」とエールを送る。

◆十月大歌舞伎 演目

 ◇第一部(午前十一時開演)「天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし) 小平次外伝」(市川猿之助、坂東巳之助ら)、「俄獅子(にわかじし)」(尾上松也ら)
 ◇第二部(午後二時十五分開演)「時平(しへい)の七笑(ななわらい)」(松本白鸚(はくおう)、大谷友右衛門、中村歌六ら)、「太刀盗人」(松緑、彦三郎ら)
 ◇第三部(午後五時半開演)「松竹梅湯島掛額(ゆしまのかけがく)」(尾上菊五郎、中村魁春ら)、「喜撰(きせん)」(中村芝翫(しかん)、片岡孝太郎ら)
 公演は十月二〜二十七日(七、十九日は休演)。チケットホン松竹=(電)0570・000489。

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