<社説>衆院選先送り 任期満了後の身勝手さ

2021年9月24日 07時13分
 政府は、菅義偉首相の後任を指名する臨時国会を十月四日に召集することを閣議決定した。これにより次期衆院選は、現行憲法下で初めて任期満了後に先送りされる見通しとなった。自民党の党利党略で生まれた政治空白の責任は、厳しく断罪されるべきである。
 まず指摘しておかねばならないのは、この臨時国会召集が憲法五三条に基づく野党の要求とは全く無関係であるということだ。
 立憲民主党など野党四党は七月十六日、新型コロナウイルス対応を巡り「国民の英知を結集させるしかない」などとして、憲法に基づく臨時国会召集を要求したが、自民党側は拒否し続けたまま、後継の総裁選びに突入した。
 加藤勝信官房長官が記者会見で「首相指名が自民党総裁の交代に伴って必要であることから、今回の臨時国会を召集する」と述べたように、十月四日の召集は自民党側の都合にほかならない。
 さらに看過できないのは、衆院議員の総選挙が十月二十一日の任期満了後に行われることだ。
 公職選挙法は、総選挙を議員任期が終わる前三十日以内に行うと定めている。この期間に国会が開かれるなどしていれば任期満了後の選挙も可能だが、この規定は国会での審議を要する重要課題がある場合、例外的に選挙の先送りもやむを得ないとの趣旨だろう。
 しかし、自民党は野党の召集要求を拒み続けた上に、党首が代わるから国会を開くという。自分たちの都合で国会の開閉会を決めるという自分勝手は法の趣旨に反する。許されていいはずがない。
 そもそも自民党総裁選は、現状では首相に就く党首を選ぶ選挙とはいえ、党員や党所属議員らによる内輪の手続きにすぎない。政策論争が活発になるとしても、内輪ではなく、全有権者が関わる衆院選での論戦にこそ注目したい。
 政権選択の衆院選で、与党は政権公約に加え、それまでの実績も評価されるべきは当然だ。総裁が代わったからといって、それまでの「安倍・菅政治」が不問に付されるわけではない。
 森友学園を巡る財務省の公文書改ざんの再調査は、総裁選でも論点だが、麻生太郎副総理兼財務相は記者会見で「これからの政権に前の政権の話を聞いて読者の関心があるのかね?」と言い放った。不問に付せと言わんばかりの暴言だと指摘しておきたい。

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