<茨城>自民総裁選4候補、再稼働を容認 県内の脱原発派冷ややか 期待の河野氏肩透かし

2021年9月24日 07時41分
 二十九日投開票の自民党総裁選では、原子力政策を巡る論戦も注目されている。次期首相に就任する新総裁のかじ取り次第では、今後の原発再稼働などに影響を及ぼす可能性があるからだ。県内には、日本原子力発電東海第二原発(東海村)や核燃料サイクル関連施設が林立する。脱原発派は候補者たちの主張をどうみるか。 (長崎高大、出来田敬司、保坂千裕)

◆誰がなっても

 総裁選には河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗元総務相、野田聖子幹事長代行が立候補。原発再稼働に関しては、四氏とも容認する立場だ。過去には「脱原発」の旗幟(きし)を鮮明にしていた河野氏も立候補表明後、「安全が確認された原発を当面は再稼働していくのが現実的」と軌道修正した。
 「誰が新総裁になっても変わらないのではないか」。東京電力福島第一原発を抱える福島県双葉町に掲げられていた原発PRの標語を考案した大沼勇治さん(45)は冷ややかに眺める。
 現在は避難先の古河市で原発の危険性を訴える大沼さんは河野氏を評価していたが、「最近はあいまいで残念だ」と吐露。「原発を残したままにすると、新たな被災地が生まれるかもしれない。総裁選は(党員でない)自分たちは投票できない。衆院選の方が大切だ」と力を込める。
 河野氏に期待する声もある。「基本的な考え方はそう簡単には変えないだろう」と語るのは、東海第二原発の近くにある特別養護老人ホーム「常陸東海園」理事長の伏屋淑子さん(85)。党内の原発推進派に配慮して持論を封印したものの、首相の座をつかめば、脱原発派の本領を発揮するとの見立てだ。
 伏屋さんは「世界中で原発をやめようという流れになっている。本来なら日本からその動きを始めてほしい。もちろん、東海第二の再稼働はしないでもらいたい」と注文する。

◆核燃料サイクル

 むしろ争点になっているのは、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムやウランを再利用する核燃料サイクル政策の是非だ。再稼働問題では肩透かしだった河野氏も、核燃料サイクル政策の見直しを唱える。核燃料サイクルを中止し、使用済み核燃料が行き場を失えば、原発を動かせなくなる恐れもある。
 河野氏は昨年秋の国の行政事業レビューで、停止中の高速増殖実験炉「常陽」(大洗町)のあり方を問題視。使用済み核燃料の保管計画があいまいだと指摘し、予算の大幅な縮減を要求した。
 一方、岸田、高市両氏は維持を明言。野田氏は特に言及していない。

◆勝負は衆院選

 「脱原発の哲学」の共著がある筑波大准教授の佐藤嘉幸さん(50)は、核燃料サイクルの中止は「合理的」と強調。現状のまま再処理を続ければ、使い道がほとんどないプルトニウムや、最終処分場すら未定の高レベル放射性廃棄物をつくり続けることになるからだ。
 もっとも、「脱・核燃料サイクル」の実現性には懐疑のまなざしも向ける。「具体的な道筋を示すべきだが、よほど党内基盤が安定しない限り難しいだろう」
 高市氏が提唱する小型原子炉や核融合炉の研究開発については「(新増設を認めてこなかった)3・11以降のエネルギー政策に反する」と批判。その上で「どの候補が総裁になっても大きくは変わらないと思う。エネルギー政策上、より重要なのは、その後の衆院選でいかに野党が票を伸ばすかだ」と説いた。

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