温暖化止めないと…祖父母が一生経験しない暑さを孫は何回も経験 国立環境研など分析
2021年9月24日 19時30分
若者が地球温暖化対策の徹底を求めるのは、将来世代ほど「被害」を受けやすいからだ。今世紀末まで温暖化が加速していった場合、2020年に日本で生まれた人たちは、祖父母世代が生涯経験しない暑い日を400回経験するという研究結果もある。
国立環境研究所地球システムリスク解析研究室の塩竈 秀夫室長らが6月、学術誌「Environmental Research Communications」に論文を公表した。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書で活用された気候変動予測データを基に、20年生まれの人と60歳離れた祖父母世代がそれぞれ80歳まで生きると想定して解析した。
塩竈室長は「気候変動は今の対策が将来を決定付ける。政治的なパワーを持つ年配層に、予測を実感してもらいたい」と話す。
各国の対策で温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の年間排出量の上昇を抑え、50年すぎから下降に転じさせた想定でも、20年生まれの人は祖父母が経験しない暑さを60回経験。早期に排出量を減らし、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑える「パリ協定」の目標を達成したとしても、祖父母が経験しない暑さを10回経験し、記録的な大雨も増えるという。
熱帯域の発展途上国では、次世代が前例のない暑い日を1000回以上経験しうるという結果も出た。CO2排出が少ない途上国の方が被害が大きくなるという、地域間の不公平さも浮き彫りにしている。(福岡範行)
関連キーワード
おすすめ情報